後輩大瀬良も納得!?

 広島前田健太投手(25)が24日、キャンプ初のシート打撃登板に臨んだ。丸、菊池、キラら9人と対戦し、許した安打は1。計33球のうち習得を目指すスプリットを10球投げ、新球に確かな手ごたえをつかんだ。3月2日の練習試合・日本ハム戦(コザしんきんスタジアム)で初実戦を踏む予定だ。

 ボールがショートバウンドするとも知らず、先頭エルドレッドのバットがいとも簡単に空を切った。初のシート打撃登板で計33球のうち、10球が習得を目指すスプリット。エース前田は納得顔で振り返った。

 「味方なら打者に反応を聞けるので多く投げたかった。まだ100点ではないけど、だいぶいい感触。今日ぐらい投げられたら使える。勝負球で投げられるようにしたい」

 丸や菊池、キラら主力9選手と対戦し、わずか1安打。結果が示す通り、スライダーやツーシーム、チェンジアップ、カーブといった左右、緩急を使い分ける持ち球に落ちるボールが加われば、より的を絞りづらくなるのは間違いない。

 直球は最速146キロを記録し、安定した制球力で内野ゴロ5個。3月28日開幕戦でぶつかる中日の前田スコアラーは「(スプリットは)内野ゴロも外野フライもダメという時、空振りを取れる。嫌な球種が増えましたね」と苦笑いするしかなかった。

 「大瀬良に『ヒット1本までなら許します』と言われていた。なかなか厳しかったけど、クリアできて良かったです」

 ルーキー大瀬良とこっそり対決していた。日南キャンプ中、15日のシート打撃に初登板する新人右腕に「ヒット2本までなら許す」と指令。大瀬良は主力8人を1安打に抑え込んだ。今度は自分の番とばかりに、この日は大瀬良に「何本までならいい?」と質問。後輩から課された1本のノルマを見事にクリアしてみせた。引き分けで罰ゲームのランニングは回避。大瀬良は「マエケンさんだから厳しめにしたけど、さすがです」と脱帽した。

 現時点でスプリットは130キロ台後半で、改善の余地があると言う。「チェンジアップも130キロ台後半なので、スピードをもう少し上げたい。空振りもそうだけど、ゴロを打たせたり、カウントによって使い分けられるようにしたい」。「完璧」への道のりを突っ走る。【佐井陽介】