右肘靱帯(じんたい)再建手術からの復帰を目指し、昨年4月5日DeNA戦以来の実戦登板となったヤクルト館山昌平投手(32)が12球で降板した。25日、宮崎・西都で行われたロッテとの練習試合に先発。1回1死から2番角中に投じたチェンジアップは大きく抜け、四球を与えた。捕手相川が「嫌そうな表情をしたので」と右腕を気遣うジェスチャーをし、マウンドへ。高津投手コーチも駆けつけて話をした結果、「×」と示して交代となった。

 大事には至っていない模様だ。角中に外角直球を投げた後、右肘に違和感があったと説明。「投げ続けようと思えば投げられたけど大事を取りました。詳しいことはドクターに診てもらわないと分からないですが、キャンプでも2度あったので。リハビリの中で起こりうること」と、ある意味“想定内”とした。降板後も表情は穏やかで、試合中に病院には行かず、勝利のハイタッチにも加わった。

 それでも、復帰計画は見直さざるを得ない。当初は中4日、中6日で登板し、球数も30球から50球、70球と増やしていく予定だった。だが高津投手コーチは「白紙です。手術後に出る症状なので深刻な感じではないと思うけど、先生の診断が出てから」と慎重で、帰京後の診断を待つ方針だ。

 たった12球だったが、明るい兆しは見せた。計画通りに実戦日を迎え、直球は145キロを計測。全球種を投じた。「納得いく球が投げられた。悲観していません」。開幕から1年間戦い抜く決意があるからこその、先を見据えた英断だったと信じたい。【浜本卓也】