中日ダニエル・カブレラ投手(32)が、改心ピッチで谷繁元信兼任監督(43)を喜ばせた。25日、沖縄・北谷キャンプで初の実戦となったシート打撃に登板。2回1安打3三振と若手を圧倒した。背中の張りや緩慢な練習態度で一時期2軍に落とされたが、課題のクイック進化に取り組むなど大変身。谷繁兼任監督や森ヘッドコーチら首脳陣も一安心の騒動落着だ。

 高橋周のバットが真っ二つに割れた。内角高め、この日最速の146キロ真っすぐだった。力ないライナーをグラブに納めたカブレラは、不敵な笑みで仁王立ちだ。14年初実戦のシート打撃登板。最後は田中をカットボールで空振り、高橋周は外角真っすぐで見逃しの連続三振で締めた。2回を投げ1安打3三振。ローテ確定を印象づけた右腕は、大野が有力な開幕投手にも立候補するほどご機嫌だった。

 カブレラ

 心地よく思った通りに投げられた。体調、メンタルとも充実している。開幕投手はやってみたいし選ばれたらうれしい。

 みそぎの31球だった。緩慢に映る練習態度に加え、キャンプ中盤に背中の張りを訴えたことで森ヘッドコーチが激怒。「やる気のないヤツはいらねえ」と13日に2軍落ちした。だがその後は「いいベットで寝るために日本に来たんじゃない。仕事をしに来たんだ」と改心。休日返上など大変身が認められ、22日に再昇格が許された。「2軍でしっかりやってきたなと思わせたい」。捕手は谷繁兼任監督とあって、気合に満ちていた。

 登板態度でも進化を示した。203センチの巨漢ゆえ課題はクイック。昨年後半からほぼ改善したが、この日は走者なしでもクイックで投げる場面があった。「走者がいる時だけでいいぞ!」。登板後、森ヘッドにたしなめられると言った。「うまくなるために練習したんだ」。この前向きな姿に、参謀は「十分だ。中4日、3日でも回ってもらうぞ」とローテの柱を期待。受けた谷繁兼任監督も「欠点も克服しようとしていた。そういうこと(2軍落ち)もありましたねという感じ」とみそぎ完了に目を細めた。

 「去年日本に来て人生で初めて中6日で投げた。それまでは中4日。優勝のためなら、中何日でも喜んで投げるよ」。すっかり優等生になった助っ人はちゃめっ気たっぷりにウインクした。【松井清員】<今季のカブレラ>

 ◆来日

 1月26日、新外国人のゴメスらと来日。「ケガなくできれば去年以上の成績は残せる」。

 ◆アレレ?

 2月1日、投手陣が次々にブルペン入りする中、投球練習は行わず。

 ◆返上

 4日、キャンプ最初の休日を返上。キャッチボール相手を座らせた。7日に初ブルペン。41球を投げた。

 ◆痛っ

 9日に2度目のブルペン。だが、その後のノック中に背中を痛めて練習を早退。

 ◆逆鱗

 13日、2軍降格が決定。森ヘッドコーチは「やる気のないやつはいらん」と怒り心頭。17日は2軍の球場で休日返上トレ。

 ◆改心

 22日に1軍に昇格。フルメニューを消化した。