<巨人12-3阪神>◇30日◇東京ドーム

 阪神西岡剛内野手(29)が、2回の二塁守備で右翼福留孝介外野手(36)と交錯し、救急搬送された。背走キャッチを試み、前進してきた福留と顔面から激突し、後頭部を地面に強打。あおむけのまま動けず、球場に入り込んだ救急車にストレッチャーで運び込まれた。試合は25分間中断した。都内の病院で鼻骨骨折、胸部打撲、左肩鎖関節の脱臼と診断され、そのまま入院。長期離脱の可能性もある。

 東京ドームが、静まり返った。衝撃的な光景だった。2回裏。1点を先制され、なおも2死一、二塁で大竹が放った飛球がふわりと二塁上空を舞う。二塁西岡が懸命に背走。右翼福留も猛チャージする。両者は顔面から激突し、西岡の体は宙に浮く。そのまま、後頭部を地面にたたきつけられた。グラブでつかんでいた白球も遠くに放り出される形で打者大竹は三塁まで進むが、西岡は福留とともに、あおむけのまま動けなくなった。

 三塁側ベンチからトレーナーが急行。和田監督や鳥谷、大和らも駆け寄って様子を見守った。両軍ファンから「頑張れ!

 頑張れ!

 西岡!」のエールが送られる。白衣の医師も現れた。16分後に中堅フェンスの出入り口から赤色灯をともした救急車が入ってくると、ざわめきも起きた。西岡はトレーナーと会話を交わしたが、体を完全に固定したまま、ストレッチャーに乗せられて車内へ。左手を上げて声援に応えるしぐさも見せた。虎党が西岡の個人応援歌を合唱するなか、病院に向かった。

 交錯した直後は意識を失うほどの状態だった。試合は25分間の中断。都内の病院で検査の結果、鼻骨骨折、胸部打撲、左肩鎖関節脱臼と診断され、入院した。黒田ヘッドコーチは「頭を打っている。明日にならんと分からん」と言う。今日31日に都内で再検査を受け、今後の見通しを立てる方針だ。

 西岡は午後11時ごろ、自身のフェイスブックでファンに感謝の思いを伝えた。「意識ははっきりしてます!

 球場に倒れてる間はほんとに意識なく、意識が戻ったのは、阪神タイガースファン、読売ジャイアンツファンの、西岡コールで意識がほんとに戻りました!

 感謝の言葉しかありません!

 自分の名前が球場に響いたとき涙が止まりませんでした!」などとつづった。

 とはいえ、頭部を強打し、さらに肩鎖関節の脱臼は全治まで数週間から数カ月を要する症例も多い。長期離脱の可能性もある。和田監督は「相当、頭を強く打っている。明日の状態を見てになるけど」と表情を曇らせた。4月1日の中日戦(京セラドーム大阪)でホーム開幕を迎えるが、早くも試練を味わう。