<広島3-0巨人>◇27日◇マツダスタジアム

 ミラクルカープだ。広島が歴史的なサヨナラ勝ちを飾った。巨人戦で延長11回裏無死一、三塁。ブラッド・エルドレッド内野手(33)が豪快なサヨナラ3ランをぶちかました。延長サヨナラ弾月間3発はプロ野球史上初の快挙。球団初の4月16勝もマークし、4月首位も確定した。記録ずくめの強さで、今季は早々とコイの季節がやってきた。

 左翼席上段にある移動式売店の屋根を直撃したエルドレッドの打球が、「史上初」の快挙を決めた。延長11回無死一、三塁。山口のスライダーを捉えた来日初のメモリアル弾に「チームがジャイアンツに勝ったことが大きいんだ!」と声を弾ませた。

 22年ぶりの日本シリーズ進出を夢見た昨季。クライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージで、巨人に1勝も出来ずに敗退。「打倒巨人」はチームの旗印になった。春季キャンプを前に、野村監督は「やられっぱなしではいられない」と声をあげた。8~10日の今季初対決(東京ドーム)は1勝2敗と負け越したが、その後4カード連続勝ち越しの勢いをつなげた。

 一丸となって、白星をもぎ取った。エース前田が巨人の前に立ちはだかった。右肘違和感の払拭(ふっしょく)をかけ、今季初のG戦マウンド。「自分がいい流れをつくらないと」の責任感で自己最速タイの153キロをマークするなど強力打線を封じた。直球は終盤まで150キロ台をマーク。9回無死二塁のピンチも阿部を二ゴロ。高橋由を投ゴロに打ち取り、三塁から飛び出した村田を三本間ではさんでアウトに。最後は橋本を左飛に抑え、両手こぶしを握りしめた。完全復活を証明する9回無失点だ。

 サヨナラ弾の直前には、先頭の菊池が中前打で出塁。強攻策で丸が追い込まれながらも中前打し、好機を広げていた。大砲キラが「脊髄しんとう」で戦列を離れたが、チームは強固な絆で苦境を乗り切り、ミラクル白星を生み続けている。

 前回優勝の91年、エルドレッドは10歳。「フロリダのリトルリーグで、投手でホームラン打者だった。野球を続けてきたからこそ、今年がそういう年になるかもしれない」と、23年ぶりの優勝を夢見る。5年連続負け越しが続く宿敵との対戦成績を五分に持ち込み、4月首位も確定。「チームを成長させる1勝です」と、野村監督は声を震わせた。【堀まどか】

 ▼エルドレッドが来日初のサヨナラ本塁打。広島のサヨナラ本塁打は4月2日堂林、同4日梵に次いで今季3本目。チーム月間3本のサヨナラ本塁打は13度目のプロ野球タイ記録となり、広島は初。月間3本の延長サヨナラ弾は史上初めてだ。5年連続で延長戦に負け越しているが、今季は○○○○と粘り強い。これで今月は16勝6敗。広島の月間16勝以上は94年8月18勝、96年5月16勝、同年6月16勝に次いで4度目。4月に16勝したのは球団史上初めて。