<オリックス4-1ソフトバンク>◇4月30日◇京セラドーム大阪

 ソフトバンク秋山幸二監督(52)は“特別な日”に勝てなかった。移動バスに向かう階段を下りながら、あきれたような顔だった。先発寺原隼人投手(30)が今度は2発を浴び、今季両リーグ最悪の8被弾。3回2/3を4失点と、今季チーム最短のKO劇を見せられては仕方がなかった。

 「寺原くんは、1発病が治らないから1回(登録)抹消だ。8発も打たれちゃいかんわな」。前回23日の日本ハム戦も3被弾で4回KO。「次はラストくらいの気持ちで」と最後通告を突きつけていた。ふたを開ければまたも背信投球。即座に2軍降格を決めた。

 ピンチの後にチャンスあり。その逆もしかりだ。1-1の4回。打線が1死満塁の好機を逃すと、寺原は1死からT-岡田に勝ち越しソロを被弾した。気落ちしたのか坂口にストレートの四球を与えると、続く鉄平には内角スライダーを右翼席に運ばれた。「球が軽いのかも。結果がすべて。下でやり直してきます」。FA移籍後、かつての本拠地・京セラドーム大阪で3連敗となった右腕はうなだれるしかなかった。

 4月30日。秋山監督には勝ちたい日だった。99年のこの日、当時ダイエーの球団代表だった根本陸夫氏が72歳で死去。ドラフト外での西武入団時、また93年オフのダイエー移籍時など世話になった。「オヤジ」と慕う恩人の命日。「もう15年か。俺も年を取ったな。墓参りは行けてないな。花は贈ってあるけど」。試合前、しみじみと言った。

 それでも現実は厳しい。打線も10安打で1得点と空回りした。首位決戦に連敗し、奪首どころか3差に広がった。「きょうは4回の攻防が大きかった」。バスに乗り込む指揮官の背中も嘆いていた。【大池和幸】