<阪神8-4広島>◇4月30日◇甲子園
2勝目だ、甲子園初勝利だと浮かれていられない。大量援護を受けた阪神藤浪晋太郎投手(20)だが、四球に失策が絡み大量失点。今季最短の5回でマウンドを降りることになった。それでも広島戦に2連勝で、昨季CSファーストステージ初戦の借りも返した形。5月に入れば、すっきり勝ってくれるよね?
ベンチへ引き揚げる後ろ姿は、とても勝利投手のものではなかった。5回1死二、三塁。打席に向かおうとした藤浪が和田監督に呼ばれた。「代打新井」。今季最短の降板が決まった瞬間だった。腰を下ろして深く息をついた。険しい表情がすべてを物語っていた。
「本来、完投しないといけない点差だった。リリーフの方と点を取ってくれた野手に申し訳ないです。勝ちをつけてもらっただけ。価値のない勝利です」
5回4失点で2勝目を挙げたものの、納得できるものではなかった。2回に7点をもらった。甲子園は早くも決着ムードに包まれ、藤浪の完投が期待された。
だが直後に異変が起きた。3回、先頭の投手野村への制球が定まらない。初球が外角高めに外れると2球目は内角高めへ抜けた。3球目にやっとストライクを取ったが、4球目が外角にひっかかると球場がざわめき始めた。最後は5球目がひっかかり、まさかの投手への四球。ここから悪夢が始まった。
上本の失策で二、三塁とピンチを広げると、菊池にはボール先行からストライクを取りにいったところを左前へ運ばれた。丸には三塁線を破られ、松山にも逆球を右翼線へ運ばれた。4点を失い、圧勝ムードは吹き飛んでしまった。
「(野村の場面で)抜いたな。リリースが緩んで(タイミングが)合わなくなった。6、7分の力で制球できる投手じゃない。全力で抑えにいかないと。あまいあまい!
ピッチングがあまいということやな」
中西投手コーチはずばりと精神面を指摘した。打順の3まわり目でつかまる「100球の壁」に続き、野球の難しさを教えられる結果となった。開幕から5試合、藤浪はまだ1度も自分に合格点をつけていない。この日はプレートを踏む位置を三塁側から再び一塁側へと変えた。「感覚を少し変えたいと思ったので」。どんな状況でも試行錯誤は続けている。笑顔なき2勝目も、いつの日か自分への糧にするはずだ。【鈴木忠平】
▼先発の藤浪が3回に右前打。シーズン初登板から5試合連続安打を記録した投手は08年ゴンザレス(ヤクルト)以来で、日本人では89年大野(広島)以来25年ぶり。



