<楽天4-0DeNA>◇22日◇コボスタ宮城

 悩みのトンネルから抜ける完封勝利だった。楽天則本昂大投手(23)が自己最多11三振を奪い、プロ初の無四球完封での5勝目。ポンポンと最速149キロの直球をテンポよく投げ込んでいく。2球、もしくは3球で追い込むと、鋭く落ちるフォークで空振りを奪う。109球の快投に「最初から飛ばしていけるところまでいこうとした結果」と、チームの連敗を5で止める好投に笑顔がはじけた。

 4月18日に自身初の完封勝利も、翌週25日のオリックス戦ではワースト9失点。オセロのように勝ち負けの波が続く状況に「眠れないんです」とこぼすこともあった。そこに恵みの雨。15日オリックス戦は雨天ノーゲームとなり、間隔が空いたことで自分を見つめ直した。昨年の投球、1失点完投勝利を飾った西武との開幕戦のビデオを見返した。「気の抜けた自分らしくない投球が続いていた。良い意味で僕はまだ2年目。持ってるものを出し切って負けたら負け」。開き直ることができた。

 余裕が投球にも出た。7回2死、6番バルディリスへの2球目。104キロのスローカーブを投じた。思わぬ球での見逃しストライクに「キャンプから投げて使えると思った」とニンマリと笑った。

 星野監督も「やっぱりアイツしか連敗を止められないというのはある」と評価する。昨季はエース田中(現ヤンキース)がチームの連敗を最長でも5で止めていた。その信頼感に近づく堂々の投球。今季は納得のいく登板はほとんどないと話していた右腕だが、「今回は僕自身がしっかり投げられた。前回と違う特別なうれしさがある」。ようやくつかんだ充実感に、口元が少しだけ緩んだ。【島根純】

 ▼楽天則本が4月18日日本ハム戦以来、プロ2度目の完封勝利を初の無四死球で飾った。交流戦で2ケタ奪三振の完封は12年5月30日楽天戦の杉内(巨人)以来14人目(18度目)。楽天の投手は岩隈や田中も記録しておらず、則本が球団初になった。交流戦の2ケタ奪三振&無四死球完封は12年5月22日阪神戦の金子(オリックス)以来7人目で、すべてパの投手がマークしている。