<広島6-2楽天>◇19日◇マツダスタジアム

 初勝利が遠い。楽天松井裕樹投手(18)が広島戦で4月23日以来となる先発登板。6日に1軍再昇格を果たし、プロ初勝利を目指したが4回を3安打3失点。6奪三振も5四球を与えるなど課題の制球が安定せず、4敗目を喫した。これでチームは4連敗となり、広島と並び交流戦最下位に転落した。早ければ明日21日にも自力優勝が消滅する。

 四球を与えるたびに天を仰ぐ。松井裕のしぐさが、不安定な内容を表していた。「イニングごとに(投球を)安定させないと。初回のような投球を続けないといけない」。悔しそうに振り返る言葉が全てだった。

 まるでジェットコースターのように、調子の波が上下した。初回を3者凡退に抑えると、2回は3四球で1死満塁。それでも三振をポンポンと続けて奪い、危機を切り抜けた。しかし、続く3回には1死を取った後に四球。動揺したのか次打者の2球目の投球前にボークを取られ、そのまま連続で四球を与えた。3回まで1安打ながら、2失点とちぐはぐな投球が続いた。

 4回も悪い流れを断ち切れない。先頭から2者連続三振を奪った直後だった。1番梵の打球が三塁ベースに当たる不運な二塁打を浴び、そこから失点。リズムに乗りきれない内容に、佐藤監督代行は「ヒットを打たれていないので何とも言えない。ブルペンでは球が抜けないのに試合では抜けてる。(四球を出すと)『あぁ』という顔をしたり精神的に何かあるのかも」と心の乱れを指摘した。

 一方で、12アウト中半分の6つは三振で奪ったのも事実。キレのあるチェンジアップに広島打線はタイミングが合っていなかった。2軍降格後のファームで行った2度の先発では、12イニングで3四球24奪三振。実力は十分にある。精神面が安定すれば、制球も投球内容も落ち着く下地はある。松井裕は「長いイニングを投げさせてもらうには、イニング間の波をなくさないといけない」と課題を口にした。交流戦後の起用法は未定だが、1試合ずつ成長していくしかない。【島根純】

 ▼松井裕が4回3失点で4敗目。開幕から4連敗以上の高卒新人は78年広木(ロッテ)以来、36年ぶり。2リーグ制後は8人目で、ドラフト制後(66年以降)では広木に並ぶワースト記録となった。過去7人の中には1勝も挙げられずに引退した52年吉田(近鉄)と広木がいるが、通算400勝した50年金田(国鉄)も4連敗デビュー。4敗時の金田は30回1/3を投げて25四死球と、松井裕同様に制球に苦しんで勝てなかった。金田は10試合目(先発6試合目)に初勝利を記録したが、松井裕は何試合目に初勝利を挙げられるか。