<阪神3-2巨人>◇22日◇甲子園

 煮えくりかえったはらわたを、マシソンが吐き出した。巨人ベンチに怒号が響いた。延長12回裏2死からのサヨナラ負けで1・5差。阪神の足音が聞こえてきた。

 相手にかましたことを、そのまま返された。9回表2死。代打高橋由の代打本塁打で追い付いた。阪神呉昇桓に1-2とされ、決めにきた「石直球」だった。右中間最深部に放り込み、プライドを砕いた。延長戦の攻防も落ち着き払って進めた。原辰徳監督(56)は「紙一重と思う」と振り返ったが、主導権は巨人にあった。

 11回裏、無死二塁。2番俊介をあえて敬遠し、送りバントの1死三塁を防いだ。山口は嫌な鳥谷の懐をえぐり、空振り三振とした。手ごまが薄い相手を見越し、代打藤井を確認して、マシソンを送った。マシソンは最速159キロと直球が走っていた。力勝負で藤井を併殺に仕留め、12回も直球で2死。今季初の引き分けまであと1人だった。

 福留に対し、直球から入った。高く抜けたが、ベテランは差し込まれる場面が目立っていた以上、2球目も直球は妥当に思えた。ただ阿部のミットは内角、マシソンの152キロは真ん中高めだった。ねらい澄ました「1、2の3」で右翼ポールに当てられた。高橋由と全く同じで、最後の最後、ベテランに上を行かれた。原監督は「紙一重」ともう1回言い「阪神は簡単に勝たせてくれない。教訓にすればいい」と言った。わずかな失投による「出合い頭」でも、命取りになる場面がこの先、必ず来る。痛恨のサヨナラ本塁打を教訓とする。【宮下敬至】