<西武2-0楽天>◇22日◇西武ドーム

 おかわりではなく、西武中村剛也内野手(30)が一振りで決めた。先発菊池がマメをつぶして降板する緊急事態。3回から中継ぎ陣が踏ん張り、中郷、岡本篤、ウィリアムスと0点リレーでつないで迎えた7回だった。無死一塁。カウント1-1からの3球目、内角直球を左中間席中段まで運んだ。「ちょっと詰まったけど、いいバッティングだったんで入ると思った。投手陣が粘っていたし、特に中郷が頑張っていたから入ってよかった」。

 中村の1発だけで勝った試合は今季初だ。喜びもひとしおだった。誰よりも先にベンチを飛び出し、勝利のナインを先頭で出迎えた。しかし、ハイタッチは左手だった。7月8日、右ひじに違和感を感じ2試合を欠場。6日の14号から本塁打も遠ざかった。それでも状態については「ノーコメント」を貫いた。打撃の調子も上がらず、甘い球を打ち損じ、ファウルにするケースが目立った。「ミスショットが多く、かなり歯がゆかった」と振り返る半月だった。それだけに「(上昇の)きっかけになれば」と価値ある1発を喜んだ。

 前夜は1000三振で強打者の証しを示したばかり。田辺監督代行も「前後が結果が出ていない中、ワンチャンスに集中していた。さすが4番」と感服していた。【矢後洋一】