<DeNA3-7中日>◇22日◇横浜

 中日谷繁元信兼任監督(43)が、26年連続本塁打の日本新記録を3連敗阻止の決勝3ランで飾った。同点の2回、DeNA久保の真っすぐを左翼席へ運ぶ今季1号。25年で野村克也氏と並んでいた連続本塁打記録を塗り替えた。5回にも適時打を放ち、自身7年ぶりの1試合4打点でネバーギブアップを体現した。

 ヒーローインタビューに呼ばれた谷繁兼任監督は大照れだった。「外野フライでもと思ってたら最高の結果になりました。プロの第1歩を踏み出した球場で打ててよかったです」。かつての古巣、慣れ親しんだ横浜で26年連続本塁打の日本新記録を打ち立てた。同点の2回無死一、三塁。甘く入った久保の138キロ直球を逃さず、弾丸アーチを左翼席の竜党に届けた。

 大洋入団1年目の89年から打ち続け、自身が持つ新人年からの連続本塁打記録も更新した。「大したホームラン打者でもないけど毎年コツコツやってきた結果。(今年も)1本出ればいいなとは思っていましたが」。それを3連敗阻止の決勝3ランで飾るのだから千両役者だろう。

 監督自ら、勝利への執念を体現した。逆襲を期して臨んだ前日の後半開幕戦で、4番和田が頭部死球を受けてこの日スタメン落ち。右脇腹故障の大島は5試合ぶりに先発復帰したが、ルナと平田は戦線離脱中だ。17日の前半戦報告会で白井オーナーから逆転Vを厳命されたが、相次ぐ主力の負傷者続出で足元がおぼつかない。この日は3番に病み上がりの大島、4番に森野を入れるなど苦肉のオーダー。その中で自ら、ナインを鼓舞する1発をたたき込んだ。

 ヤクルト古田以来7年ぶりの兼任監督として臨む今季は、苦闘の連続だった。ようやく兼任のリズムもつかみかけ「自分自身でもさあ行こう」と心身が充実した5月、今度は左太もも裏を痛めた。だが決して弱音は吐かず、常に前を向いてグラウンドに立ち続けた。

 5回には中前へ中押し適時打。07年9月22日広島戦(ナゴヤドーム)以来、7年ぶりの4打点で勝利を決定づけた。指揮官自ら導いた後半戦初勝利。Bクラスに沈む竜が最高の景気づけを得た。【松井清員】

 ▼兼任監督の谷繁が今季1号を放ち、プロ1年目の89年から26年連続で本塁打をマークした。26年連続本塁打は56~80年野村(西武)の25年連続を抜くプロ野球新記録。06、07年にヤクルトの兼任監督を務めた古田は本塁打を打っておらず、兼任監督の本塁打は77年に16本塁打した野村(南海)以来、37年ぶり。セ・リーグでは56年に4本打った藤村富(阪神)以来、58年ぶりとなる兼任監督の1発だった。