<オリックス1-0日本ハム>◇23日◇京セラドーム大阪

 オリックスに孝行息子だ。ドラフト1位右腕吉田一将投手(24)が、日本ハム打線を8回無失点に抑え3勝目を挙げた。7回1死までパーフェクト投球。この日、金子が出場選手登録を抹消された危機に、頼もしい孝行息子が現れた。苦手の日本ハムに3タテを食らわせチームは今季5度目の4連勝。25日からのソフトバンクとの首位決戦に向け、敵地へ乗り込む。

 オリックスのルーキー右腕が、エース不在のピンチにその真価を発揮した。6度目の先発。5月に4回5失点でプロ初黒星を喫した日本ハム打線にリベンジした。

 立ち上がりから140キロ半ばのストレートがコーナーに決まり、フォークは低めへ鋭く曲がり落ちた。7回1死で中島に中前打を打たれたが、そこまで1人の走者も許さない完全投球。「(完全試合は)ヒットが出てくれと思っていました。完投をいくつもしていたら意識もなかったと思いますが、考えなくても体が反応しました」と吉田一。昨年の都市対抗で8回途中まで完全試合はあるが、アマ時代も経験のない快挙達成を意識しないわけがなかった。

 それでも、初安打のあとを連続三振に仕留めた。投げた8イニング、奪った三振11、投げた球数106、すべてが自己最多。森脇監督も「今日は吉田一が試合を支配した。体力、メンタルがやっと整ってきたね」と絶賛した。

 社会人NO・1右腕も、キャンプで出遅れたことで春先は状態が上がらず直球は140キロ前後。5月に2軍落ちし、7月11日に復帰するまで、汗にまみれた。2軍コーチからは「ファームで真っすぐで押せないと、上で通用しないぞ」と言われた。本来の姿を取り戻すために修正に取り組み、復帰後はスピードが数キロ増した。吉田一は「自然とスピードが上がっていますね」と笑った。エース金子がこの日登録を抹消された。だが、吉田一ら若手の好投が後半戦の光明になる。指揮官は「松葉らもそうだが、互いに鍛えてやってくれれば。明るい材料だね」と満足げ。25日からのソフトバンクとの首位攻防戦でエース不在は変わらない。だが、頼もしい若手も、このチームにはいる。【高垣誠】