<西武5-3ロッテ>◇26日◇西武ドーム

 西武は運も味方につけた。1点を追う6回、金子侑が右中間を破る逆転2点三塁打を打った後だ。なお1死三塁。打席の秋山翔吾外野手(26)がカウント1-2と追い込まれた4球目だった。バットを振り抜いた後、一塁に向かって走り出した。誰の目にも振り逃げと映った。ところが判定はファウル。この判定を不服としたロッテ伊東監督が暴言退場となった。

 このツキを秋山は生かした。2-2からの6球目、同じ球種のフォークにうまくバットを合わせ三遊間を抜いた。「当たっていないと思ったので…。コメント難しいです。察してください。気持ちの切り替えは相手の方が難しかったと思う」と、困惑顔だ。

 田辺監督代行も複雑な笑顔を見せた。「走り出したからね。空振りなのかなと思った。あそこは堂々としていればいいのに」と苦笑い。「ただジャッジだからね。その後食らいついてレフト前。きっちり1点取った。いい方向にいっている」とチームの上昇ムードを、この場面に感じ取った。

 それだけではない。金子侑は試合中に軽い熱中症にかかっていた。1死一、二塁から逆転三塁打を放った時もフラフラだった。「二塁を回った時、足の感覚がありませんでした。こんなこと初めてで…」と戸惑いを隠せない。9回の守りから永江に交代するほどだった。

 後半戦3勝2敗。田辺監督代行が指揮を執ってから19勝14敗とコツコツ借金を返済している。「打線は上向きだね。明日につながる」。その反発力を秋山、金子侑の姿に見た。【矢後洋一】