<広島4-6中日>◇7月31日◇マツダスタジアム

 逆転の竜が4点差をひっくり返した。中日谷繁元信兼任監督(43)も、真っ先に粘り腰を見せた攻撃陣を褒めた。「野手が4点取られても、よく粘っこく追いついた」。2年ぶりに先発した伊藤が序盤に崩れる嫌な展開。暑苦しい広島の夜をスカッとさせたのは、諦めない男たちだった。

 主役は33歳藤井淳志外野手だった。4点を追う4回。1点差まで詰めより、なお2死三塁。右翼線への適時二塁打で同点とすると、6回2死二塁の場面は、左翼線に転がす勝ち越し打を放った。「1点ずつ返していけば何とかなると思った。僕だけじゃなく他の選手が回してくれて、たまたま僕が打った」。泥臭く食らいつき勝利を呼び込んだ。

 起用がズバズバと当たる。この日は広島戦2試合で9打数1安打だった大島をスタメンから外し、藤井をリードオフマンに起用。1戦目は体調不良で欠場した和田の代役で出場した松井佑が決勝2ランを放った。「たまたまじゃないですか。そういうのを見ながらやっていかないと、チームは強くならないですから」。指揮官の表情には自信が満ちている。

 3カード連続の勝ち越しで3位広島に再び1・5ゲーム差まで迫った。試合のなかった首位巨人にも5ゲーム差。この日は2軍戦で右肘痛から再起を期すルナが実戦に復帰し、左足首を痛めていた平田は今日1日からの1軍合流が決定。粘っこい竜がペナントレースを面白くする。【桝井聡】