<ヤクルト7-1中日>◇3日◇神宮

 ヤクルトのウラディミール・バレンティン外野手(30)の8月は、やっぱり熱い!

 60本塁打の日本記録を作った昨季をほうふつさせる、アーチ量産態勢に入りそうな勢いだ。1点リードで迎えた3回は、111キロの低めカーブをすくい上げて左中間席へ。3点リードの7回は、125キロの外角スライダーを左手で押し込み左中間席へ放り込んでみせた。どちらも技ありだった。

 この緩いボールに対応できたのが、大きな変化だ。「練習でやっているタイミングのまま、同じように緩いボールを自分のポイントまで待って打つことができた」と解説してみせた。今季はこれまで我慢ができず、ボールを迎えに行く姿が目立っていた。

 月が替わって雰囲気も変わった。小川監督が見抜いていた。「(1日から)ちょっと違うよね。集中力が出てきた。去年は体からにじみ出る雰囲気があった。このところ感じられるようになった」。左アキレスけん痛に悩んだ6、7月のイライラモードからは解放されつつある。

 バレンティンも自覚していた。「去年のような状態ではないからね。集中しないとダメだと思う。去年と違うのは、相手投手が注意深く投げているところ。失投が少ない。我慢することが大事」と、しっかりと現状を見詰めている。

 この日の2本も失投ではない。集中して我慢して自分のポイントまで呼び込み芯でとらえた。昨年の8月は18発。ライバルの広島エルドレッドが7試合ノーアーチの隙に、ここ4試合で3発の固め打ち。11本差まで詰めた。「ホームランは気にしていない」。無欲で巻き返す。【矢後洋一】

 ▼バレンティンが21、22号。来日1年目からの1試合2本塁打以上の回数は11年4度→12年4度→13年11度→14年4度となり、通算23度目。マルチ本塁打のプロ野球記録は王(巨人)の95度、ヤクルトで23度はラミレスに並ぶ球団タイ記録。