追い込まれた竜が絶体絶命の大ピンチだ。昨季の右肘手術から復活を期す中日吉見一起投手(29)が、再び長期離脱する可能性が高まった。7月23日DeNA戦で手術箇所とは違う部位ではあるものの右肘の張りを訴えて2軍落ち。現在、ノースロー調整で登板のメドが立っていない。また、前日3日ヤクルト戦(神宮)で2本塁打を浴びた浅尾拓也投手(29)は無期限の2軍調整が決まった。

 今日5日にも自力V消滅の危機に立たされた中日に、さらなる追い打ちだ。6日の広島戦で先発するとみられていたエース吉見が、長期離脱を避けられない事態に陥った。4日の時点で登板プランが白紙になっていることが判明。森ヘッドコーチは「野球が出来る状態ではない」と険しい表情を浮かべた。

 歯車が完全に狂った。吉見は7月8日ヤクルト戦で1年2カ月ぶりに1軍復帰を果たした。だが、復帰3戦目の同23日DeNA戦で右肘の張りを訴え、今季最短3回3失点で降板。24日に出場選手登録を抹消された。ただ、右肘の張りは手術した箇所ではなく、数日後にキャッチボールも再開。当初は首脳陣も「1回飛ばす程度」と最短復帰を見込んでいた。

 ところが、同29日に自ら首脳陣にノースロー調整を申し出たところで計画が崩れた。この日、ナゴヤ球場で練習した吉見は右翼から左翼へのポール間ダッシュを繰り返してグラウンドから姿を消した。7日連続でボールを握ることはなく「すみません。しゃべれないんです」とだけ話し、球場を去った。

 チームは危機的状況だ。先発陣は8戦連続で勝ちがない。前カードのヤクルト3連戦ではトータル9被弾、42被安打で26失点と投手陣が崩壊。落合GMからも「6月から10勝」のノルマを課せられた吉見には、投手陣立て直し役としての期待が高まっていた。吉見の離脱により、今日からの広島3連戦は朝倉、小川、岩田の先発3枚で戦う見込み。

 今後、吉見は精密検査を受けて復帰プランを探ることになる。キャッチボール、遠投、シート打撃…と段階を踏むとなると、早くても1軍復帰は9月上旬になりそうだ。シーズンはすでに96試合を消化。エース抜きで最終コーナーを迎える可能性もある。【桝井聡】