<ヤクルト11-20阪神>◇5日◇神宮

 夏休みの絵日記を描く小学生に、虎のクリーンアップが格好のネタを提供だ。ズドン、ズドン、ズドーーン!!

 少年少女もビックリの神宮花火大会。主役は主軸3人だ。3回、3番鳥谷敬内野手(33)が導火線に火をつけた。下手投げの軟投派、山中に間合いをじっくりはかる。4球目。内角低めの121キロ直球を豪快にすくい上げると、放物線は右翼席に吸い込まれていった。

 7号ソロを打った鳥谷はわずかに笑みを浮かべて言う。「風だと思います。先頭だったので塁に出ることだけ。どんな形でも良かった」。鉄人の一撃に導かれるように間髪入れずに5番マット・マートン外野手(32)も続く。1死後、山中の初球直球を狙い打ちだ。ハードパンチした打球はグンと伸び、またも右翼席へ。11号ソロ弾を「うまく逆方向に打つことができた。自分のスイングをできている」と自画自賛だ。この日は今季3度目の4安打をマーク。首位打者にも返り咲き、好相性のヤクルト戦で好調ぶりを示した。

 花火大会のトリは4番マウロ・ゴメス内野手(29)が務める。5回無死二塁。阿部の直球を強振すると大飛球が左翼席に入る。「打った瞬間、入ったと思ったよ」。18号2ランで、クリーンアップ3人がアーチを競演。主軸がそろい踏みするのは11年5月3日巨人戦以来、3年ぶりだ。3人とも猛打賞の活躍。チームも優勝した85年以来の23安打で、20得点を刻んだ。

 この日、東京は最高気温35度超だった。試合前練習中、主軸の調整は三者三様だ。鉄人鳥谷には1つのルールがある。炎天下での練習中、肌を陽光にさらさない。多くの選手が半袖のアンダーシャツを着るなか、必ず長袖を着用して汗を流す。ある関係者も「直射日光が体力を奪う。長袖は暑苦しく見えるけど、実は理にかなっている」と言う。こまめに水を飲む水分補給法など、猛暑の処世術を心得ている。

 対照的に、ゴメスは動かない。この日はナインが練習中、三塁側ファウルゾーンのフェンスにもたれかかり、日陰で涼んでいた。体力を温存する工夫だった。マートンはリラックスして過ごす。左翼守備練習中、虎党にプレゼントされた菓子をその場で食べ始めた。ユーモラスな光景は周囲を和ませる。思い思いに過ごすが、勝負の一瞬ではすごみが際立つ。パワーヒッターが放った大輪の花火は勇ましかった。【酒井俊作】