<ロッテ8-7楽天>◇6日◇QVCマリン

 先発初勝利が、またしてもこぼれていった。5点リードで迎えた9回。6回途中でベンチに下がっていた楽天松井裕樹投手(18)は笑顔で戦況を見つめていた。8度目の先発登板にして、白星まであと1回。だが、ブルペン陣が打たれ、サヨナラ負けすると、ベンチでぼうぜんと唇をかんだ。「自分はリズムを作って投げるだけ。切り替えてやるしかない」と足早に帰りのバスへと乗り込んだ。

 最大風速11メートルのQVCマリンで強風は追い風になったはずだった。マウンドへの向かい風でスライダーは右打者の内角へ、チェンジアップは打者の手元で止まり、ピンポン球のようにストンと落ちた。毎回の7奪三振。しかし、6回1死から二塁打と四球2つで満塁にすると、マウンドを降りた。「四球で、リズムを崩した。次は先輩に迷惑をかけないような投球をしたい」と報われなかった粘投に、悔しさを押し殺した。

 楽勝ムードに、ベンチの判断も遅れた。9回5点差で、ブルペンの準備が出来ていなかった。4番手の西宮が1死も取れず3点差に迫られ、急きょ守護神のファルケンボーグが送り込まれた。しかし、球は高く浮き、逆転負け。守護神は「バタバタしたのは確か。3人目のランナーが出て、準備した。セーブをつけられなかった自分の責任」と自らを責めた。

 松井裕は何としても勝ちたい試合だった。星野監督から復帰後、声をかけられた。「先発でしっかり勝てよ」。すぐさま「0を並べます」と力強く言い切った。指揮官のためにも届けたかった白星。星野監督は「5点あって勝てないんだから、よっぽど勝てないんだよ」と情けない展開にあきれかえった。左腕が勝利投手の権利を持った状況でひっくり返されたのは、今季2度目。“持っていない男”と呼ばせないためにも、次戦こそ勝つ。【島根純】