<日本ハム2-5オリックス>◇6日◇帯広

 日本ハムが今季3度目の4連敗を喫し、勝率5割へと逆戻りした。今カード2連戦で、猛追を狙っていた2位オリックスに連敗。8・5ゲーム差へ引き離された。粘投した先発上沢を打線が援護できず、攻守にチグハグ。打撃不振、失策と精彩を欠いた不動のレギュラー西川遥輝内野手(22)を試合途中で「懲罰交代」させるなど、緊迫感が漂ってきた。前カードの首位ソフトバンク3連戦、今カードと連続で負け越し、暗雲がたれ込めてきた。

 沸点を超えた。栗山英樹監督(53)が、もどかしい展開の中で激しくジャッジした。7回から西川をベンチへと下げた。この日はリードオフマン、ほか中軸も任せてきた有望株。2点ビハインド、十分に逆転の可能性も残る中で、この日に限っては「戦力外」にした。「状態が悪すぎ。今、誰かを我慢するという時期じゃない」。珍しく擁護もせず力強く非難し、責めた。ため込んできた失望に似た憤りを、ついに形にした。

 分岐点の6回。重い決断をし、動いた。わずか1点を追う展開。1死一、三塁の守備で、腹は決まった。西川が一ゴロを処理して本塁へワンバウンド送球。野選と捕手・市川が捕球できない失策で、さらに一、三塁とピンチが広がった。一挙3点を失う、きっかけの痛恨のミスが出た。この日も3打数無安打で、直近10試合で打率2割(45打数9安打)で12三振。出塁しようという意識が欠如したように見えるプレーに対する姿勢も判断材料の1つになった。

 最大の特長の打撃を生かし、チーム全体の攻撃力アップを狙って抜てきを続けてきた。我慢の限界に達した。ペナントの行方を占う勝負どころでの停滞。栗山監督は、西川をはじめ選手個々に思いが伝わらない現状を憂い、訴えた。「これだけ悔しい思いをしたら、やるしかない」。陽岱鋼が決死のダイビングキャッチを見せ、中田は2戦連続マルチ安打と奮闘した。優勝経験者が懸命に働く中で責任感に欠けたキーマンに、大なたをふるった。

 残り47試合。明日8日から敵地でソフトバンク3連戦へ臨む。この2カードで上位2強と差が開き、現実的には厳しい状況に直面し始めた。継投策が裏目に出るなど、攻守でぐらついてきた。貯金も吐き出し、またゼロになった。西川の「懲罰交代」の一手が響き、巻き返しの芽を再度、つくりたい。後退できない戦いは続く。【高山通史】