<中日3-2広島>◇6日◇ナゴヤドーム

 中日谷繁元信兼任監督(43)が逆転Vへネバーギブアップを体現だ。同点の7回2死二塁、左前へ就任3本目となる決勝打。一時は自力V消滅の危機に立たされたが、指揮官の一撃で3位広島に1差、首位巨人とは4・5差に迫った。神宮での大敗3連敗後「豊橋からやり直す」と逆襲宣言していた通りの連勝で貯金1。週末からの巨人3連戦へ、さあ弾みをつけるぞ!

 竜党の大歓声と総立ちの拍手が背番号27を包んだ。7勝目の又吉と並んだお立ち台で、谷繁兼任監督の笑顔がはじけた。「とにかく勝ちたい思いで打席に入りました。うまく打てました」。白熱の接戦にケリをつけたのは指揮官だった。

 バリントンに2球で追い込まれた。同点の7回2死二塁。だがそこから際どいコースを3球見極め、最後は難しい内角速球を左前にはじき返した。「どんな球でも対応しようと思っていた」。7月22日DeNA戦で26年連続本塁打の日本新記録を決勝3ランで飾って以来、就任3度目のV撃。逆転Vへ自らネバーギブアップを体現した。

 チームは1日からの最下位ヤクルト戦で3タテを食らった。しかも3連戦のトータルは、9被弾を含む42安打26失点の悲惨な倒壊状態。5日にも自力Vが消滅するがけっぷちに立たされた。だが谷繁監督は決して下を向いていなかった。「チームとしての踏ん張りどころ。本拠地に戻って豊橋からやり直す」。

 力強い宣言通り、5日豊橋での広島戦は延長11回の激闘の末、藤井のサヨナラ弾で4連敗を阻止。そして今度は自ら攻守にわたる奮闘で連勝と貯金1を導いた。7月末に背筋痛を発症して3試合欠場するなど、43歳の体は万全とはいえない。だがこの日は今季初先発の小川が8四球と乱れる中、再三体を張ってショートバウンドをストップ。守護神岩瀬のアクシデント降板にも冷静に対処し、6投手の勝利継投を引っ張った。

 「とにかく1つ勝つのが1番必要なこと。誰が打ったとかじゃなく、勝てたことがよかったです。本当は又吉ではなく先発の勝ちがつくのがいいけど本当に頑張ってくれている福谷も初セーブを自信にしてもらえれば」

 選手谷繁は監督谷繁に表情を変えていた。これで目の上の敵3位広島とは1差。首位巨人には4・5差まで詰め寄った。自力V消滅の危機どころか、一気の射程圏だ。そして週末には前回3タテを食らった東京ドームで首位巨人3連戦が控える。「常に上を目指していますから」。今日も勝てば最高の弾み。豊橋からの谷繁奇跡劇場が幕開けだ。【松井清員】