<巨人6-3中日>◇8日◇東京ドーム

 巨人が目覚めた。4連敗で迎えた中日16回戦(東京ドーム)は2回に村田修一内野手(33)、5回に坂本勇人内野手(25)、6回に高橋由伸外野手(39)と得意の1発攻勢を仕掛けた。連敗中は乱れていた守備も井端、高橋由の全力プレーで堅守を示した。投打のバランスが乱れ、故障者続出という非常事態に一丸となり9カードぶりにカード初戦を制した。王者が反攻に転じる。

 勝利を心から欲していた。初回の守備。大島の平凡な遊ゴロに、二塁手の井端が鬼気迫る表情で一塁送球のカバーに全力で走った。前夜はDeNAに8年ぶりの3タテを食らい、お通夜のようだった。試合後に「やれることをやっていこう」と呼びかけていた一塁手の阿部も「あれほどの大ベテランがここまで走るとは」と思わず頭を下げた。開始直後の39歳の姿勢で勝利への強い意思を、みんなが共有した。

 負の重い扉は王道のスタイルでこじ開けた。2回、村田が第1打席の初球を果敢に振り抜き、13号ソロで幕を開ける。5回1死一、二塁では坂本が6年連続2ケタ弾となる10号3ランを左中間最前列に運んだ。3回の適時打は、つなぐ意識も「あそこは強く振ろうと思い切った」と長打仕様に切り替え。6回は高橋由が高めの直球を打ち砕き、前回対戦で完封された中日大野に3発を見舞った。村田は「うちの魅力であるホームランで点を取れたのはプラス」と納得した。

 本来の姿を、試合前の打撃練習で呼び起こした。打撃投手を通常の位置より1・5メートル前に設定。首脳陣から「(バットの)トップの位置を早めにつくり、コンパクトに振るように」と指令された。昨年の楽天との日本シリーズでも田中対策でも実施した練習法。始動で立ち遅れなければ、鋭く小さいスイングでも長打は出る。練習法を変えて刺激を与え、極意を体に思い起こさせた。

 首位にいるはずなのに、がけっぷちだった。原監督は「野球は点取りゲームだが、いくら打たれても、点をやらないこと。野手はどんな形でも点を取ること。執念が必要ですね」と執着心を求めた。前日に不慣れな一塁手でミスを犯した阿部は試合前練習ではゴールデングラブ賞のロペスに動きの教えを請うた。仲間に「首位にいるのはウチだ。自信を持っていこう」と鼓舞した。自身が不振でも関係ない。勝利の前にプライドは必要なかった。

 原監督は試合前、ベンチ上から声を掛けてきた少年野球チームに声を掛けた。「運のせいにしちゃいけない。力をつければ、運もついてくる」。運を振り向かせるための努力は小学生もプロも変わらない。「今の巨人に最も必要な、いいところが出た。いいスタートが切れた」。3発快勝は連覇へ反撃ののろし。眠れる巨人が目を覚ます。【広重竜太郎】