<ロッテ5-9西武>◇8日◇QVCマリン

 西武がロッテの“確変”を止めた。序盤に4点を先制したが、6回に一挙5点を奪われ劣勢に追い込まれた。だが、8回に栗山巧外野手(30)と浅村栄斗内野手(23)の適時打で再逆転に成功。前カードのソフトバンク戦で3連敗を喫した西武が、2戦連続サヨナラ勝ちで5連勝と神がかっていたロッテを蹴散らした。

 また負けるのか…。序盤3回までに4点を先行したが、6回に一挙5失点で逆転された。にわかに漂い始めた不穏な空気を主力打者が一蹴した。8回1死一、三塁でキャプテン栗山がロッテ中継ぎエースの益田を泥くさく攻め立てた。「気合ですよ。何が何でもという気持ちだった」。内角とアウトローだけを徹底する相手を気合でねじ伏せた。

 フルカウントからの7球目。内角への148キロ直球に右足を踏み込んだ。「最近、内角攻めが多い。そこで球を避けてしまう。足を動かされて目線も動く。それをなんとかしないといけない」。過去2度の頭部死球と、死球での手首骨折の悪夢がよぎる内角球への対応に悩んでいた。悪夢を振り払うかのようにバットを振り抜いた。どん詰まりの打球は投手適時内野安打で同点。「泥くさかったでしょ。それでいい」と満足げだった。

 キャプテンの気迫に弟分も呼応した。1点を勝ち越し、なお2死一、二塁。浅村が、外角低めボールゾーンの直球を捉え、右中間への2点適時二塁打で勝負を決めた。「今、本当に悩んでいます。どうやって打ったらいいか分からないんです」と不振に苦しんでいた昨季の打点王が復活ののろしをあげた。

 浅村も呪縛にかかっていた。左膝痛で離脱する前の5月31日中日戦を最後に長打が1本も出ていなかった。7月15日の日本ハム戦で1軍復帰してからの12安打は全て単打。この日は4安打猛打賞の活躍で長打も2本出て「去年と同じように、ゆったり振ることを意識した。兆しが見えてきた」と胸をなで下ろした。

 3連敗の下降ムードからの上昇に転じる価値ある1勝に田辺監督代行も「栗(栗山)が食らいついていこうという姿勢を見せた。浅(浅村)は今日の打撃を見たら調子がいいときの状態に戻りつつある」。西武の底力を見せるときがきた。【為田聡史】