<阪神5-4広島>◇9日◇京セラドーム大阪

 待望の白星で、虎が巨人に0・5ゲーム差と大接近だ。8試合勝ち星がなく、6連敗中だった阪神能見篤史投手(35)が、広島相手に7回1失点で77日ぶり勝利となる6勝目。勝負の夏場にエース左腕に白星がつき、この日敗れた巨人はもう目の前だ。勢いに乗った虎が今日10日、奪首に挑む。

 エースがやっと勝った。77日ぶりの白星だ。呉昇桓が三振で試合を締めると、能見の表情に笑みが広がった。バッテリーを組んだ清水の肩をもんでいた左腕が、がっちりと和田監督と握手。長かった2カ月半。ようやく心から笑えた。

 「迷惑かけてばかりだったので、白星がついて本当によかった。開幕も清水とバッテリーを組んで、10点取られて清水のせいになっていた。本当に申し訳ないなと思っていました」

 勝てなかった8試合のうち、6試合で3回までに失点。だが、この日は違った。1点のリードをもらった直後の3回。堂林、会沢と連続安打で無死一、二塁。大瀬良のバントはゴメスの好守があり、走者を進ませなかった。赤松を外角低めへのフォークで中飛。菊池を遊ゴロに抑え、ひと山を越えると、4回に自らのバットで追加点をたたき出した。2死一、三塁で左前適時打。点差を広げ、投球も加速した。捕手清水との連続適時打に「0割バッター2人の打点が効いたでしょ」と笑って取材を締めた。

 「巡り合わせもあるけど、途中から僕が投げた試合はチームが負けていたのが苦しかった。背負うものはいっぱい背負うよ。プレッシャーにもなる」

 5月24日ソフトバンク戦の5勝目を最後に白星から遠ざかった。自身も6連敗中。そして何より気にかかっていたのはチームも自身が登板した試合で負け続けたこと。「チームが勝てばいいです」が口癖の男が苦しんでいたのは想像にかたくない。それでも、気配りを忘れたことはなかった。

 “黒星トンネル”まっただ中の7月14日。名古屋でのナイター後、ブルペン捕手と中継ぎで奮闘する2年目金田に声を掛け、食事をともにした。負けが込もうとも投手陣を束ねる男としての行動だった。

 首位巨人が負け、0・5ゲーム差。12日からの直接対決に弾みがついたが、和田監督は目の前の一戦があるだけに「全く気にならないと言うとそうでもないけど、カープとも大事な戦いなので。8月に手を抜く試合は1試合もない」と引き締めた。だが、虎にとって何より欲しかった勝利で勢いは加速するはずだ。

 「僕がしっかりすればチームも上昇する」(能見)。苦しんだエース左腕の白星が、虎の逆転Vロードを大きく切り開いていく。【宮崎えり子】