<ソフトバンク6-4日本ハム>◇10日◇ヤフオクドーム

 日本ハム大谷翔平投手(20)が撃沈した。連敗ストッパーを託されたが、2戦連続対戦のソフトバンクの強力打線に攻略された。同点の5回に代打・松中に決勝打を浴びるなど6回で降板し、自己ワーストタイの被安打9&5失点。自身初の連敗で3敗目を喫した。プロ入り最多130球も変化球主体の配球が裏目に出た。7月16日西武戦で9勝目を挙げたが3戦連続で足踏み。チームも今季ワースト7連敗と苦境に拍車がかかってきた。

 ベンチに腰を下ろし、敗戦を見届けた。大谷は、自身にいらだっていた。連敗中のプレッシャー、投球フォームのバランス、強力ソフトバンク打線への意識…、すべての質問に「特になかったです。関係ないです」と多くを語らず、バスまで続く敗者の行進に加わった。

 最大の武器が、前面に出ることはなかった。自己最多130球のうち、敬遠気味に外した2球を含めて直球は59球のみ。打者32人に対し、初球に変化球を選択したのが20度を数えた。「全体的に…(良くなかった)」。調子の悪さに加え、前回登板の3日、同じソフトバンク打線に直球を狙い打たれた影響もあったのか、日本人史上最速161キロを誇る剛速球で押す姿勢は最後までなかった。

 象徴的だったのが同点に追いついてもらった直後の5回2死一、二塁のピンチ。代打で迎えた40歳のベテラン松中に、3球すべて変化球勝負で挑み、高めに抜けたカーブを左翼線に運ばれた。20歳も年齢の離れたかつての3冠王に、威力抜群の速球で真っ向からぶつかることもなく、散った。この日最速は3回、柳田に投じた158キロ。制球には苦しんだが、力がなかったわけではなかった。

 チームの連敗ストップがかかるマウンド。自身も2桁勝利目前に2度足踏みが続いており、自然とボルテージは高まっていた。栗山監督は「精神的に強い。責任とか一番、プロ根性がすわっている」と大谷を評する。だからこそ期待して送り出した。140球近くに球数が増えても、この日は完投させるプランもあった。チームの命運を、高卒2年目の青年に託したが、結果は非情だった。「当然力が入るとは思った。それも生かしてくれれば」。気持ちを察し、責めることはしなかった。

 被安打9、5失点はともにプロ入りワーストタイ。強力打線が相手ではあるが「それ(怖さ)は今日はあまり感じなかった。今日に関しては僕のアレ(問題)なので…。関係ないです」。何度も下唇をかんだ。かわいい顔に隠されてはいるが、元来は強烈な負けず嫌い。この悔しさが、さらなる成長への原動力になる。【本間翼】