<阪神5-17広島>◇13日◇甲子園

 新人王まで、あと1歩!

 広島ドラフト1位の大瀬良大地投手(23)が、3位阪神相手に8回5失点ながら、打線の大量援護に助けられて9勝目(6敗)を挙げた。プロ入り後最速の153キロを記録し、新人王争いを優位にする2桁勝利に王手をかけた。打線は今季最多の17得点を記録し、チームの連敗を2でストップ。首位巨人との5ゲーム差を保ち、なんとか首位戦線に残った。

 もう、ルーキーという立場を卒業している証拠だ。大瀬良はチームの連敗を2で止める9勝目に、満足していなかった。「フォームが定まらなかった。内容は全然ダメ。野手の皆さんに助けられました」。反省の言葉を並べながら、甲子園裏の通路を歩いた。

 4点リードをもらった直後の1回裏、先頭から2者連続四球。5番マートンに中前2点打を許し、楽勝ムードを消し去った。2回は先頭の7番伊藤隼から2連打を浴び、1番上本の中犠飛で1点差に。「修正しようとしてもできなくて、気持ちだけでした」。3回以降も球のバラつきを解消できず、8回を6安打2四球5失点。大量17点の援護に助けられたが、素直に喜べなかった。

 相手先発は岩貞。昨秋、大瀬良の外れ1位という形で阪神に入団した左腕だ。九州共立大エース、横浜商大エースという立場で大学時代から親交が深かった。大学2年時の日米大学野球では同部屋となり「いろんな話をした」。岩貞が後にメジャー屈指の有望株となるアメリカ代表右腕ワカ(現カージナルス)に記念撮影を願い出た時は、進んで撮影役を買って出た。

 「下級生のころから仲が良いんです。今もいい投球したら、メールを送り合ったり。でも、グラウンドに私情を持ち込むつもりはないです」。この日、岩貞は1回4失点KO。初の投げ合いに勝利したことより、チームの連敗で2で止めたことに安堵(あんど)した。

 状態は決して悪くはない。3回にはプロ入り後では最速、自身最速タイとなる153キロを記録。8回には147キロ直球で4番ゴメスに左越え2ランを浴びたが「点差があったので力勝負で行った。僅差なら直球を投げていない。僕の力ではまだまだでした」と“実験”する余裕もあった。

 少なくとも、残り2試合先発を残した状態で9勝目。2桁勝利を決めれば、新人王の有力候補に名を連ねることは間違いない。「新人王は他にもたくさん候補がいらっしゃるし、あまり考えていない。残り試合は少ない。投げる試合は全部勝つつもりでいきたい」。23年ぶりのV奪回だけに照準を定め、次こそ笑顔で勝利する。【佐井陽介】