<西武1-3ソフトバンク>◇21日◇西武ドーム

 ソフトバンクが4連敗から脱した。救世主はジェイソン・スタンリッジ投手(35)だ。7回途中をメヒアのソロによる1失点で踏ん張り、自身も6試合ぶりの11勝目。2位オリックスも勝ったため、マジック点灯は23日からのホーム楽天4連戦に持ち越されたが、ソフトバンクでは初の本拠地Vへ、ラストスパートだ。

 金縛りをほどいた。スタンリッジの1球1球が、だ。低め、低めに伸びる直球で押した。立ち上がりから8者連続で凡退。四球を挟んでまた4者連続とリズム、テンポがいいから、攻撃も乗る。右腕の奏でる主旋律がゲームを支配した。

 「ああいう投球が本来の姿。今日でスタイルを取り戻せたよ。プレッシャーを感じる理由がない。普段から楽しんでいるから。自分のパフォーマンスを出せば勝てると信じている」

 マジック点灯を目前にして4連敗。ひりつくような緊張感を力に変えた。104球のうち速球系は53球だが、警戒した栗山と中村には6打席で6球のみ。力で押し、機を見て緩い球で抑えた。自身ここ5試合遠ざかった勝利でチームに漂った重苦しさも断った。

 大型補強のシンボル的な存在の1人。昨年は先発が6回以上を投げ、自責3以下に抑えたクオリティー・スタート(QS)率が144試合で39・6%とリーグ最低。崩壊した先発陣の整備を期待され、6年ぶりに復帰したのがスタンリッジ。今季25試合に先発し、QS19度を数える。総イニング数166回2/3はリーグ3位、自己最多だ。前回は1年半で7勝ながら、開幕から唯一ローテを守る優良助っ人となって戻ってきた。

 オリックスも勝ち、マジック点灯は5日連続でお預けでも、目標に近づく毎日を秋山監督は幸せに感じる。「1戦1戦大変だけど今はやりがいがある。幸せに思ってやればいい。オリックスもしんどいのは一緒。勝つことの難しさを一番感じている」。9連戦を終え、移動バスに乗る直前、通りがかった元同僚の西武奈良原コーチに「倒してこいよ」と次カードでのオリックスたたきを“依頼”したが、自軍には頼りになる地元ファンが待っている。

 「そうだな、ファンの皆さんに赤いユニホームで真っ赤にしてもらって、力になってくれたらいいな」

 恒例企画「鷹の祭典」の赤いユニホームを着用して明日23日からホームで楽天4連戦に向かう。残りは6試合。ちなみにこの「カチドキレッド」は4年前、残り6試合から3・5ゲーム差をひっくり返す奇跡の逆転優勝を呼んだ「勝ち色」である。【押谷謙爾】

 ▼明日23日にソフトバンクが楽天戦○、オリックスが西武戦●のとき、優勝マジック4が点灯する。最短Vは25日で、23日からソフトバンク○○○、オリックス●●●で決定。一方、2位オリックスも最短24日にマジック点灯が可能。23日からオリックス○○でソフトバンク●●または●△、オリックス○△でソフトバンク●●のときに、マジック8が出る。