<ソフトバンク2-3楽天>◇23日◇ヤフオクドーム

 いつ出るの?

 ソフトバンクのマジック点灯は王手から6試合、7日間のお預けとなった。楽天のルーキー松井裕に自己最長8回まで投げさせ、1点差負け。技術屋の秋山幸二監督(52)が精神論を口にするほど、投打とも優勝争いの重圧に苦しんでいるようだ。2位オリックスも敗れたのは救い。今日24日に勝ち2位が敗れるとマジック3がともる。

 体に良いとされる水素水で潤したのどからうなり声が漏れた。敗れた秋山監督は「ん~、ん~、ん~」の3連発で切りだし、「気持ちの部分だな」と言い切った。ナインが重圧の金縛り状態にあると感じていた。

 先発大隣の四球はことごとく失点に直結した。先制された1回に続き、同点の4回も先頭に四球を与えた。2死二塁で松井稼を敬遠気味に歩かせ、打率1割2分1厘だった岩崎に2点適時二塁打。「あそこは攻めていかないと。大事に大事にという感じがした」。内角へ投じた甘いスライダーに闘争心を見てとれなかったという。いつもの技術論はこの際、無視した。

 「技術どうのこうのより食らいつくしかない。思い切りがあるかないか。できるかどうか。開き直っていけるか、そういうところ」

 開き直ったのは優勝争いと無縁の楽天であり、松井裕の方だった。8回。今宮の犠飛で1点差とし、なおも1死一、三塁だ。120球を超える中、将来も見据えた“教育的続投”に対し、李大浩、柳田が打ち取られた。気迫を込め、がむしゃらに腕を振ってくる若武者からあと1点を奪えない。秋山監督は「その辺はポジション的な部分もある」と優勝のかかる自軍と立場の違いを強調したが、新人の思い切りのいい投球に屈したのは事実。李大浩は4打席凡退で松井裕に通算14打数無安打とさっぱり。柳田はハーフスイングの空振り三振3個で、血の気の引いた表情で天を仰いだ。

 ここ9試合で2勝7敗と厳しい戦いが続く。勝率7割1分2厘だったヤフオクドームでもM点灯はお預け。これが重圧なのか?

 そんな声を内川は笑顔でかき消した。「結果が出ないもどかしさをすべて優勝争いのせいにしてもいけない。もう終わったので明日頑張るだけですよ」。残り5試合で2・5ゲーム差は圧倒的に有利。この重圧を乗り越えたら、思い切り笑える。【押谷謙爾】