阪神がOBの江夏豊氏(66=野球解説者)に、来春沖縄キャンプ臨時コーチ要請を検討していることが15日、分かった。江夏氏の健康状態やスケジュールに配慮、確認した上でオファーを出す見込み。球団創設80周年の記念すべきシーズンに大物OBから協力を得られれば、投手陣のレベルアップだけでなく、悲願のリーグ制覇、日本一へ弾みがつくことになりそうだ。

 猛虎のグラウンドにあの豪腕が戻ってくるかもしれない。球団創設80周年のスタートとなる来春の沖縄キャンプ。球団内で、江夏氏に臨時コーチを要請するプランが浮上していることが判明した。現在、チームには左腕の投手コーチが不在で、安芸の秋季キャンプでは広島OBの大野氏を臨時コーチに招いていた。

 今後は江夏氏の体調やスケジュールに配慮、確認した上で合意すれば、正式にオファーを出す見込み。実現すれば、20世紀最高の左腕の1人とたたえられる技術やメンタルに選手が触れられる。また、節目のシーズンに大物OBが協力することで悲願のリーグ制覇、日本一へ大きな弾みがつくことが予想される。

 江夏氏は66年、当時の第1次ドラフト1位で阪神に入団すると、2年目には25勝12敗で最多勝を獲得し、シーズン401奪三振のプロ野球記録をつくった。また、71年のオールスターでは史上初の9者連続三振を達成した。76年に南海へトレード移籍した後はリリーフに転向して、日本におけるストッパーのパイオニアとなった。その後、広島、日本ハム、西武でプレーして84年に現役引退。通算206勝158敗、193セーブを挙げた。まさに球史に残る大投手だ。

 現在、チームの左投手としては先発の中心である能見、岩田を筆頭に、榎田、若手有望株の岩崎らがいる。また、21Uワールド杯を戦っているドラフト1位横山もいる。左右の違いこそあるが、江夏氏以来となる高卒新人の球団記録を次々と樹立している藤浪もいる。そんな選手たちが“伝説の左腕”に触れることで、さらなる成長を遂げる可能性は十分にある。

 昨年オフは掛布氏が育成&打撃コーディネーターに就任して話題を呼んだ。あくまで今後の確認、交渉次第だが、さらなる大物OBの閣外協力が実現すれば、球団創設80周年にふさわしい盛り上がりとなるはずだ。

 ◆江夏豊(えなつ・ゆたか)1948年(昭23)5月15日、兵庫県生まれ。大院大高から66年1次ドラフト1位で阪神入団。在籍中に最多勝2度(68、73年)最優秀防御率1度(69年)。73年8月30日中日戦(甲子園)でノーヒットノーラン。76年に南海に移籍し、リリーフ転向。その後広島、日本ハム、西武と移り、最優秀救援投手5度。実働18年で通算206勝158敗193セーブ、防御率2・49。現役時代は179センチ、90キロ。左投げ左打ち。