楽天大久保博元監督(47)が17日、ここ数年は2軍でくすぶることが多かった選手たちを来春のオープン戦で積極的に起用する方針を明かした。上園啓史(30)、戸村健次(27)、武藤好貴(27)の3投手で、かつての新人王やドラフト1位たちだ。星野前監督にもチャンスは与えられたが、十分に応えられなかった。結果を出せば、開幕1軍もある。抜てきの理由に潜入する。

 答えはシンプルだった。「使えるから。戦力と考えている」。背景には、大久保監督ならではの理由があった。「経験」だ。

 まずは、自ら「大きかった」と認める2軍監督としての経験。13年から2シーズン務めた。間近で接したから、戦力と信じられる。数字だけではないものも見えた。練習態度だった。「特に上園。一生懸命。プロでホームランを打ったり、三振を取るのはすごいこと。偶然もないと。一生懸命やってる人には、その偶然が増える」と断言した。努力が報われるとは限らない。運もある。だからこそ、努力した人間を使う。

 現役時の経験もあった。通算11年間で303試合にとどまった。1軍、2軍を行き来する中で痛感した。「ファームでは簡単に打てた投手が、1軍で対戦すると、すごい人に見えた。場数って大事なんだ」。3投手のうち、今季の最多登板は武藤の14試合にすぎない。まさに経験を積ませれば、一皮むけると見ている。

 大久保監督自身、2軍でくすぶった西武時代「人のせいにするのはやめよう」と決めたという。そこから巨人移籍の転機が訪れた。「補強してくれれば勝てるとは言いたくない。補強しなきゃ勝てない、となるから。補強しなくても勝てるチームにしたい」と、フロントへの言い訳を自ら封印した。3投手は、いずれも右の中継ぎで考えている。緻密に継投プランを描く大久保采配に欠かせないポジションだ。現場の責任者として、今ある戦力をフルに使う。【古川真弥】★楽天大久保監督のアイデア

 ▼アーリーワーク

 球界でいち早く早朝練習を導入。以前は日の出前に行うこともあったが、今キャンプは全体練習の約1時間前、午前9時15分から。

 ▼8人対8人の紅白戦

 今キャンプで実施。あえて1人少ない人数でプレーすることで、選手に考える習慣を身につけさせる。

 ▼選手が監督

 紅白戦で実施。選手同士でどう評価しているのかを見る。

 ▼全選手にランク付け

 ポジションごとにチーム内の順位を付けている。実力差を明確にすることで、1軍昇格の目安や発奮材料とする。

 ▼練習間の移動はダッシュ

 走ることで余計なことを考えさせない。切り替えを促し、集中力と緊張感を与える。

 ▼あいさつの徹底

 立ち止まり、帽子を取ってあいさつ。マナーを求める。