中日浅尾拓也投手(30)が復活への手応えを口にした。17日、ナゴヤ球場でブルペン投球を行い「よくないとブルペンには入りません。投げ始めにしては、すごくいい状態です」と笑顔を見せた。

 鳥取での自主トレを切り上げて今月初めてナゴヤ球場へ。さっそくブルペンに向かうと、谷繁兼任監督に話しかけられた。「投げるのか?」「投げます」「じゃ、ちょっと受けるわ」。11年MVP右腕との黄金バッテリーが電撃的に“復活”。指揮官は「ヒマだったから」としたが、中腰で構えるミットから甲高い音が響いた。「ありがたいです」と浅尾も頭を下げた。

 途中から捕手が松井雅に代わり、エンジンは次第に回転数を上げた。最後は座らせて9球、しめて約50球。首をかしげる場面もあったが終了後の柔和な表情が状態の良さを物語った。

 バランスよく投げることを意識しており、隣で投げ終わった吉見から腕の振りについてチェックを受けた。鳥取自主トレをともにしてきた同学年に「聞きやすいし、的確に答えてくれる」と感謝した。

 この3年は右肩、右肘と立て続けに痛め、特に今年は防御率6・16と最悪のシーズンだった。6試合連続失点の屈辱も経験。悔しさを胸に地道にフォームを見直す作業を続けてきた。

 鳥取滞在中は兼任監督から電話も受けたという。「気に掛けていただいている。今年はBクラスだったので何とか力になりたい」。かつての絶対的リリーバーが実感を込めた。【柏原誠】

 ◆浅尾の苦闘

 12年から悩まされた肩痛が癒え、復活を目指した今季だったが、開幕前に右肘痛を発症。その影響もあり6試合連続失点するなど絶不調。8月3日の登板を最後に1軍を離れた。22試合で防御率6・16。2軍ではその後も投げた。オフは安定したフォームを求めて丹念にキャッチボール、ブルペン投球を繰り返している。体をリセットせず、動かしながら来季に備える予定。