オリックスが、メジャー移籍も視野に入れて国内FA宣言した金子千尋投手(31)の代理人と接触していた。瀬戸山隆三球団本部長(61)が、21日に大阪で4時間のロング会談を持ったことを23日、明かした。今オフに米大リーグ移籍の唯一の方法であるポスティングシステムの話は、ここでも出なかったという。

 同本部長はこれまで金子本人と3度、残留交渉してきた。今回、代理人からは「オリックスへの愛着はすごく強い。育ててもらったし、このチームで勝ちたい。ただせっかくなのでいろんなチャンスを見たい」と、国内他球団も含め、残留も選択肢に入っていることを伝えられた。金子についてはソフトバンク、中日が興味を示し、ここにきてDeNAも参戦。楽天や阪神は状況を注視している段階だ。

 オリックス側は既に3年最大15億円ともみられる条件を提示。さらに今回、年数や金額など条件の上積みを行った可能性もある。同本部長はノーコメントとしたが「残っていただくための最大限の努力をする」と誠意を尽くす構え。残留の手応えには「悪くはない」との感触も得た。

 オリックスは今オフのポスティングに否定的だが、1年契約で残留した上で来オフのポスティング容認も選択肢に入れている可能性がある。同本部長は「それは何とも言えない」と否定しなかった。この方法なら金子は球団への愛情を示すことができ、オリックスもポスティングでメジャー球団から最大2000万ドル(約23億円)の譲渡金を期待できる。双方にメリットのある話だ。

 注目の金子は今日24日、京セラドーム大阪でファン感謝イベントに参加する。<国内FA宣言した金子を巡る動き>

 ◆渡米

 金子は10月22日に渡米。サンフランシスコでワールドシリーズ第3戦を観戦し「あこがれの場所でやってみたい気持ちは変わらず持っています」。

 ◆国内FA

 申請期限の最終日、11月11日に国内FA権の行使を表明。翌12日に公示された。

 ◆日米野球登板

 11月14日の日米野球第2戦に先発。メジャー関係者が見守る中、5回3安打3失点。「投げている時も、今もそうだが、考える余裕がなかった」と語った。

 ◆球団の方針

 一貫して金子サイドからポスティングシステムを活用したいとの申し出がないとしている。瀬戸山本部長は11月20日にあらためて「今のところは」という前提をした上で、ポスティングは「認めない」と語った。21日のオーナー会議に出席した宮内オーナーは、明言を避けた。