レギュラー狙い撃ち!

 中日大島洋平外野手(29)が11日、初のシート打撃で全方向に安打を打ち分け、3安打2打点と大暴れ。鋭い打球は不思議と、ポジションを争うドラフト3位友永翔太外野手(23=日本通運)を襲った。無安打だった挑戦者とは対照的に貫禄を示した。守備の安定感でも1歩リード。即戦力ルーキーが何人入ってきても、やはり大本命だ。

 真っ青な沖縄・北谷の空の下、大島ショーが開演した。初のシート打撃。その初球だった。伊藤の外角143キロを完璧にはじき返した。ライナーが中堅左を襲い、必死に追った友永が止めたが、快足を飛ばして二塁へ達した。

 2打席目は小熊から右中間に鋭いライナー。その先には今回は右翼に入っていた友永。ダイビングで止めにいったがグラブをかすめ、またも二塁打だ。くしくもチャレンジャーの守備力を試すような状況を、作り出した。もちろんわざとではないが、打力を誇示する強烈な“あいさつ”を、期待の新人に届けた。

 「自主トレから逆方向への打球、体の向きとかを気をつけながらやってきた。シート打撃でちゃんと出た。変化球にも自然と対応できた。まだまだの部分はありますが、スタートとしてはよかったです」

 第3打席は左前にライナーの安打。そして第4打席にも能力の高さを見せた。鈴木の内に食い込んでくる変化球を中堅に打ち上げ、犠飛とした。今度もそこには友永。懸命の本塁送球は大きくそれた。実は大島には深い考えがあった。

 「コーチには走者を気にせず打っていいと言われていたけど、安打はもう出ていたし、最後はレフトフライを狙っていました。ちょっとこすってセンターにいってしまった。自分の中でケースを想定して打ちましたが、まだまだです」

 狙って犠飛を打ちにいったと明かした。守備で少しバタつき、無安打だった友永とは結果も内容も段違い。大島は守備でも松井佑の中越え打をスムーズな対応で三塁で刺した。キャンプ地の「ザ・対決」はまさに横綱相撲だった。

 谷繁兼任監督も「順調ですね」とうなずいた。友永、井領、ナニータと新戦力が加わった外野争い。昨季大活躍した大島はオフの年俸交渉でもめにもめたが、あらためて高い価値のある選手だということを、初の実戦形式で見せつけた。【柏原誠】

 ◆大島の今オフ

 昨季、球団史上タイの186安打で、ゴールデングラブ賞も受賞。契約更改では1775万円増の年俸7400万円の提示を不服とし、1歩も譲らない姿勢で年俸調停もにおわせた。上積みがないまま12月下旬、3度目の交渉で“陥落”。球団からは今季も同じような成績なら1億円に届くと言われ、気持ちを切り替えた。