来季の野望は2億円!

 今季取得した国内フリーエージェント(FA)権を行使せず、残留を決めた広島栗原健太内野手(29)が11月30日、マツダスタジアムで契約交渉に臨み、4000万円増の年俸1億6000万円で更改した。来年にも海外FA権を取得するため1年契約だが、打点部門の出来高払いを設定。満額で4000万円となり、悲願の打点王に輝けば大台と優勝が見えてくる。(金額は推定)

 コイの主砲は来季、最高級の「獲物」を追う。ポイントゲッター栗原のハートをくすぐる出来高払いが初めて加わった。FAの残留交渉で対面してきた鈴木球団本部長は「打点に特化した内容になる。4番として本塁打よりも打点を挙げてもらった方がチームとしても助かる。100打点は挙げてほしい」と説明する。

 広島残留を決めた栗原に対して球団が提示したのは「打点王インセンティブ」だ。打点を積み上げるほど支払う額も上昇。最高110打点前後マークすれば、満額の4000万円が加算される。今オフの更改額は1億6000万円。ここから一気に2億円までジャンプアップする計算だ。今回の出来高払いに打率や本塁打数などは含まれない。打点数に限ることでターゲットも定めやすい。栗原も異例のシステムを歓迎する。

 「出来高をつけていただいた。いままではなかったこと。しっかり結果を残したい。これだけもらって結果を出さないといけない」

 打点王奪取を誓った今季は序盤戦こそ、新たに導入された統一球への対応に苦慮したが、夏場以降、調子は急上昇。8、9月にリーグの月間MVPに輝いた。2カ月連続受賞は広島の野手では初めて。一時は打点部門でリーグトップに立つなど、初の打撃タイトルも視界にとらえていた。今季87打点は1位阪神新井(93打点)に次ぐリーグ2位だった。自己最高は08年の103打点。自身のベスト更新、さらに打点王になれば、大台到達も近づく。

 全身全霊を1球に傾けるためにも、1年契約を選んだ。「来年、海外FAを取得するのもある。1年1年が勝負。複数年契約はありがたいけど、満足してしまうところがある。安定をとるか、可能性を求めるか」。理想の打撃を一途に追求して12年が過ぎた。来オフは憧れのメジャー挑戦も視野に入れるが、まずは来季の全力プレーを誓った。

 「あと少しというところでAクラスに入れなかったし、すごく悔しい思いをした。優勝したいと今年は特に感じました」

 現時点ではチーム最高年俸となる。その期待を背負い、打点量産で悲願を引き寄せる。【酒井俊作】