西武菊池雄星投手(20)がFA左腕の後釜になる。26日、西武ドームで契約更改交渉を行った。今季はプロ初勝利を含む4勝を挙げ、500万円アップの2000万円でサインした。1軍にいた期間は短かったが、内容と勝ち運を評価された。来季は150キロ超えにこだわり、新球カーブを磨いて、ソフトバンクに移籍した帆足和幸投手(32)の抜けた先発ローテーションの穴を埋める。(金額は推定)

 年俸アップにも、喜びは封印した。会見した菊池は「下がってはいないです。今年は震災から始まって、いろいろあった特別な年でした」としみじみ振り返った。2年目の今季は初勝利を含む4勝を挙げ、1500万円から500万円アップした。気持ちはすでに来季へと向いた。「もっと力をつけないと。今年以上を目指したいので、まずは5勝。先発の枠に入りたい」と帆足が抜けた先発ローテ入りに狙いを定めた。

 オーストラリア修行で得た確かな自信が、表情ににじんでいた。新球カーブを習得して帰国し「三振をとれるようになりました。2死満塁フルカウントから、目をつぶっても投げられるような変化球をつくりたい」と具体的目標を挙げた。球速にもこだわる。最速155キロ左腕は「今年は150キロが出なかった。投げていたスピードが出ないのは悔しいし、不安。早めに1度出してスッキリしたい。肩を痛めた影響で制限した球数も気にせず、投げ込みをしたい」と球速復活への意気込みを示した。

 オーストラリアに同行した潮崎編成担当は「カーブはもう投げられないものだと諦めてたけど、真っすぐと30キロくらいの差が出て、緩急が使えるようになった。向こうのチームメートに聞いて自分で覚えてた。17歳の同じ左投手に握りとか投げ方を教わってね」。片言の英語で体当たりした、その姿勢に感心したという。1月のハワイ自主トレは、快速球を誇った石井一、宝刀カーブを持つ岸と合同で行う。貪欲な吸収力で進化する。【柴田猛夫】