<南東北大学野球:東北公益文科大8-1山形大>◇第6週◇4日◇福島・平野球場

 東北公益文科大が山形大に7回コールド勝ち、初優勝を果たした。先発右腕の奈良晃(1年=秋田西)が6回2安打1失点と好投すると、7回表を右腕エース会田隆一郎(2年=酒田南)が打者3人を11球で抑えた。10年秋に1部昇格以来9季目、横田謙人監督(44)就任から2年目で悲願の頂点に立った。

 先発全員1、2年生の若き“オレンジ軍団”が歓喜に沸いた。3点リードの6回裏、石黒大樹主将(2年=羽黒)の適時打などで4点を加点すると、7回表には満を持してエース会田が登板。打者3人で抑え、コールドで初優勝を決めた。

 ナインから胴上げされた横田監督は「いろんな思いがこみ上げた」という。創部12年目だが、専用練習場はなく、練習場所の確保など苦労も重ねてきた。監督に続き、唯一の4年生として宙を舞った縄侃(ただし=山形中央)も「うれしい。今後は何度も監督を胴上げできるチームになって欲しい」と声を弾ませた。

 8月の関東遠征で意識が変わった。社会人の東京ガスとの練習試合では先発の会田が5回5失点、続く奈良が7失点。会田は「スキを出すと負けると実感した」と言い、奈良は「速い球を投げるだけでは抑えられない」と制球力に磨きをかけた。大敗を糧に、この秋は登板した全4投手が白星を挙げるなど8勝2敗の快進撃につなげた。

 05年に山形・羽黒高をセンバツ4強に導いた横田監督が就任して2年目でのリーグV。明治神宮大会の東北地区代表決定戦では、南東北リーグ初の本戦出場を目指す。奈良は「挑戦者として力を試したい」。東北公益文科大が目標の全国まで、チーム一丸で戦っていく。【成田光季】

 ◆東北公益文科大

 2001年(平13)に開校した私立大。福祉、環境、教育など、公共の利益の有効な活用法を研究する「公益学」を専門的に学ぶ。野球部は03年創部。10年秋に2部リーグ6度目の優勝で山形大工学部との入れ替え戦を制し、1部昇格。山形県酒田市飯森山3の5の1。吉村昇学長。