6球団キーマンが語る
「高パフォーマンス生む独特の習慣」福岡ソフトバンクホークス 細川 亨
盗塁阻止率アップに向け秘策あり
移籍2年目。ソフトバンク細川亨捕手(32)は「復肩」をテーマに掲げる。日本一を達成した昨季はリーグ戦で49盗塁を許し、刺したのはわずかに11。「阻止率は最低でしたから」。いくら投手との共同作業とはいえ、キャリア最低の盗塁阻止率1割8分3厘ではハートに火がつくのも当然だろう。宮崎キャンプではこの課題と向き合っている。
「去年の反省で弱かったところを強化しています。スローイングの見直しです。ビデオを見たりして、細々としたところを、ですね。ワンポイントあるのですが、内緒です。見た目には分からないと思います」
西武時代に最高4割6分9厘(06年)を誇り、10年も3割6分1厘を記録した。チームが日本一を達成する中で、選手個人として技術を生かしきれなかった苦々しさが体を突き動す。
打撃改造にも乗り出した。キャンプは秋山監督や立花、藤井両打撃コーチがつきっきり。「熱い指導に乗っていってます。今まで右腕でいきすぎていたのですが、左腕の強化を意識しています」。右手で押し込む感覚から左手主導へと移行している。犠打がうまく、もともと「次につなぐ意識」は高い。強打線の中で役割は果たしてきた。それでも向上心にあふれる。相手に嫌がられる9番打者を目指し、南国の夕日を浴びながら特打も珍しい光景ではない。
この時期、大切にしていること。細川の哲学はいたってシンプルだ。
「けがをしないこと。けがをするとアピールになりませんから。けがをしない体づくりは自主トレまでの2カ月でやること。キャッチャーとして経験ができないことが一番の痛手です」
どんなに技術があっても土台が傷んでいればパフォーマンスは引き出せない。184センチ、104キロ。恵まれた体を整える独特の習慣がある。おきゅうだ。
「体というより中の方からです。筋肉のマッサージだけでなく、サプリメント、おきゅうで内蔵を整えます」
内臓の働きを正常にするため専門家によるツボ押しも。そして1日3回の入浴習慣を欠かさずにいる。
「朝と、練習から帰ってから、そして寝る前。上がってからストレッチをします。20代からやっています。体が柔らかくなるし、今は入らないとだめですね」
食事は野菜多め。大好きな晩酌も休前日以外は缶ビール1本にとどめている。体調管理の意識は高い。
パフォーマンス向上のためキャンプで新アイテムも取り入れている。契約するナイキ社の「ナイキ プロコンバット」。アンダーレイヤーと呼ばれる機能性シャツをユニホームの下に着ている。「肌触りがいいのと、ゆるさがいい。腕を上げた時にブレーキがかからず、違和感なく投げられます」。ウエアの摩擦がなくスムーズな送球ができ、「復肩」を後押しする相棒になりそうだ。
2年連続日本一には自らの存在感を出し切ること。細川は強い使命感を抱いている。【押谷謙爾】
◆細川亨(ほそかわ・とおる)1980年(昭55)1月4日、青森県生まれ。青森北—青森大を経て、01年ドラフト自由枠で西武入団。04年4月4日の日本ハム戦でサイクル安打を達成。昨年は3年ぶりにベストナインとゴールデングラブ賞をダブル受賞。家族は夫人と1男1女。184センチ、104キロ。右投げ右打ち。
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