琉球スピードスターが、みちのく経由でプロへの扉を切り開く。日本製紙石巻・比屋根渉外野手(24=城西大)の武器は、50メートルを5秒9で駆け抜ける足だ。沖縄・東風平(こちんだ)中時代には、陸上の200メートルで県3位に輝いた。「今年の野手の中で足は1番」と評価するスカウトもいる。

 天性の脚力に、努力を加えた。昨年の入社以降、「足が遅くなると思っていた」と敬遠していたウエートトレーニングに力を入れてきた。体重が4キロ増の70キロとなったが、下半身が安定し「盗塁、守備でのスタート、足の運びが良くなった」。外野の間、前に打球が落ちると、一気に一塁を回る。「当たり自体はシングルです(笑い)」と足には絶対の自信を持つ。右打ちの野手としての希少価値も高い。

 憧れは、元日本ハムの新庄剛志氏(39)。99年阪神時代の巨人戦で敬遠球をサヨナラ安打にするなど、勝利に徹する姿に共感した。「派手なパフォーマンスだけじゃなく、泥くさくチームのためにやっているのがすごかった。僕も『こいつを取って良かった』と思われる選手になりたい」。沖縄、埼玉(城西大)、宮城と北上を続けた島人(しまんちゅ)の次の行き先が、今日決まる。【今井恵太】

 ◆比屋根渉(ひやね・わたる)1987年(昭62)6月20日、沖縄県八重瀬町生まれ。東風平小3年から軟式の東風平星で野球を始める。沖縄尚学高では投手から外野手に転向し、3年夏に甲子園出場(2回戦敗退)。首都大学リーグの城西大では、3度のベストナインに輝き、4年秋に首位打者も獲得。日本製紙石巻では1年目から中堅のレギュラーをつかみ、昨年の都市対抗初出場に貢献した。家族は両親、姉、妹、祖父母。180センチ、70キロ。右投げ、右打ち。血液型O。