花巻東・大谷翔平投手(18)を入団にこぎつけた日本ハム栗山英樹監督(51)は、喜びより大谷育成への責任の重さを痛感した。来春の沖縄・名護キャンプでの1軍スタートを示唆。メジャー一本から翻意させるのに影響を与えた二刀流について、本格的に取り組ませる意向を明らかにした。今日10日には花巻東を訪問。面識のある佐々木監督らに経緯説明、謝罪を行う予定だ。

 晴れて入団表明となった会見だが、栗山監督は笑顔全開とならなかった。「もっと喜べると思ったけど、全然喜べない。こういう選手をみんなが驚く成功に導いていかないといけない。監督を引き受けた時も怖かったけど、もっと怖くなってきた」と神妙な表情を浮かべた。大谷は投打両面で逸材なだけに、育成の失敗は許されない。責任を痛切に感じていた。

 早くも来春キャンプで、投打二刀流に挑戦させる意向を明かした。「自分の中で漠然とイメージはある。担当コーチと話していく。どうやっていくのか難しい。昔はあるが、二刀流はここまで分業化が進んだ近代野球の中ではないので」。体調を見極めながら、野手として出場する際のポジションの適性を探っていく。高卒新人ながら1軍スタートも示唆。「18歳は関係ない。やれるかやれないかだけ。新人だから2軍ということはない」と実力優先を貫くという。

 その一方で、大谷の将来的なメジャー挑戦時期にも言及した。「田中もダルビッシュもみんなが喜んでくれる瞬間。チームに貢献できた時だと思う。すべての選手の夢をかなえるために球団はある」と、理解を示した。

 今日10日には花巻東を訪問し、評論家時代から面識がある佐々木監督らに謝罪を行う予定だ。「ああいう会見をした後に(日本ハム入りの)決断したので学校も大変。いろんな経緯がある。まずは謝らないといけない」。ドラフト前にメジャー表明をしていただけに、学校には中傷が届いた。指名の経緯を説明し、自ら対処していく構えだ。【斎藤直樹】