侍ジャパンの先頭打者候補、巨人長野久義外野手(28)が、いきなりマン振りした。春季キャンプ第1クール5日目の5日、フリー打撃で初めて投手と対戦。今年初めて見る生きた球にもかかわらず、高木京の初球をセンターへ大飛球を放った。2スイング目で外角高めの球を流すというより、押し込むように右翼スタンドに運んで見せた。「風ですよ。(フルスイングも)たまたまです」。だが実際は、ほぼ無風。その打撃のすごみを包み隠した。

 右翼への本塁打は好調時の証明。「調子がいい時は外の球を1個、手前に引き込み、右方向に打てる。バットと球の接地時間を長くボールに押し込んでいる感覚がある」と感覚を言葉で表したことがある。それを“初打席の2スイング目”で体現。村田打撃コーチは「普通、この時期はあのコースはファウルになる。しっかり振り込んできている」と好調ぶりを実感した。

 フリー打撃で見せた積極性と高い適応力は長野の長所だ。プロ入り後、ファーストストライクに対する打率は3割6分4厘とめっぽう強い。初ものの投手に対しても初回から臆せず振っていくのが流儀。これが日本の武器になる。過去2度のWBCで日本は初回先頭打者の打率が2割5分と2割2分2厘。特に前回大会は初回の平均得点が0・33点と6イニング、7イニングと並び、最も悪かった。先制パンチをなかなか相手に与えることができなかった。

 前回大会で連覇を達成した原監督は兵法から学んだ先手の重要性を説く。「まず先手を奪う。奪っても手を休めず、先、先と手を打っていく」。短期決戦のWBCでは初回の攻撃がカギを握る。その先制攻撃の水先案内人になれる資質を長野は持ち合わせている。

 長野は「しっかり1日休んで第2クールで、また頑張ります」と締めくくった。多くは語らないが、世界と戦う準備を着々と進めている。【広重竜太郎】