<WBC壮行試合:日本3-2オーストラリア>◇23日◇京セラドーム大阪

 ゼロに抑えて侍ジャパンを鼓舞するつもりだった。先発田中将大投手(24)の思惑は外れた。3月2日のWBC1次ラウンド初戦、ブラジル戦に先発するエース。本番前の最終登板は3回53球、2失点だった。

 立ち上がりの課題が改善されなかった。「前回に続いて、初回にバタバタとして失点してしまった。投げミスをして、話にならない」と自分を責めた。17日の広島戦と同じで、1回に2失点した。ボール先行で、特に変化球はコントロールに苦しんだ。四球、安打、四球で1死満塁とし、オーストラリアの5番ヒューバーへの初球だった。

 外角低めを狙ったはずのスライダーがすっぽ抜けた。右打者の右肘に当たるという、田中にしては珍しい押し出し死球となった。失点直後の初球も不用意で、簡単に高いバウンドの内野ゴロを打たれて生還を許した。「こういう雰囲気の中で投げるのは、今年初めてだった」と説明した。静まり返った中で投げる独特の空気が、感覚を狂わせた。

 2回以降、やや制球を持ち直した。「緊張の中、腕を振って投げられたのは収穫」とプラスに解釈した。ブラジル戦まで中6日。与田投手コーチは「もう、(WBCで使う)ボールの対応を表に出す段階じゃない。フォームのバランスで修正を」と求めた。

 立ち直ってもらわないと本当に困る。初陣にマー君を送って勢いを付け、1次ラウンドを突破するシナリオが狂う。山本監督も「立ち上がり慎重で、いつもよりリズムも悪くて」と心配そう。「やるしかない。力になれるように頑張る」と結んだ田中の言葉を信じるしかない。【宮下敬至】