マー君、任せたぞ!

 WBC日本代表は今日2日、1次リーグ初戦のブラジル戦(ヤフオクドーム、午後7時開始)に臨む。重要な先発は、予定通りエース田中将大投手(24)が務める。田中は2月23日、オーストラリアとの壮行試合で先発して3回2失点と不安を残した。さらに主将・阿部も右膝を痛めるなど不安は山積しているが、田中は1日の前日練習で「気持ちが高ぶっている」「見ていただく方々に何かを感じてほしい」などと、アドレナリン全開で力強く語った。悲願の3連覇へ、侍ジャパンの戦いがいよいよ始まる。

 覚悟が口もとに表れていた。田中は珍しく無精ひげをたくわえていた。前日練習を行った福岡工大の室内練習場。前田健とキャッチボールをするなど、先頭に立って最後の調整を終えると、カメラの前に立ちブラジル戦への意気込みを語った。「いよいよ大会が始まる。気持ちが高ぶっています。答えは、マウンドで。結果を出します」。ニコリともせず、真っすぐに前を向いて語った。

 侍ジャパンは決して順風満帆とはいえない。主将の阿部が右膝に違和感を訴えている。打線もまだ本調子ではない。何より田中自身、本番前の登板2試合とも失点するなどピリッとしなかった。周囲は不安を抱いている。この日も報道陣から「調子は大丈夫か?」という質問が飛んだ。すると田中は「意地悪な質問ですねぇ」と笑いながら「内容はどうであれ、ゼロに抑える。1試合、抑えれば(雰囲気は)変わる。気も楽になる」と決意を口にした。

 相手は関係ない。06年の第1回大会では上原が、09年の第2回大会ではダルビッシュが、初戦の先発マウンドに立った。もっとも信頼されるエースが立つ舞台。ここを抑えるか否かが、チームに大きな意味を持つ。自分がブラジルをねじ伏せれば、侍ジャパンは上昇する。田中はそれを十分に理解している。

 相手打線を眼中に置いていない。俊足の1番オルランドに、4番はパンチ力があるヤクルトの松元。バランスの取れた打線は侮れない。だが田中は「データにとらわれても…」と、情報は最小限のインプットにとどめた。「バッターとしっかり勝負して、リズムよく投げる。上位を走者に出すと苦しくなる。走者なしでクリーンアップを迎える。ユウイチさんも、交流戦でしか対戦していない。ブラジルが僕をよく知っている、ということはない」。

 ひげをそる暇も惜しんで調整に没頭した。2月27日の練習では、周囲をシャットアウトしてブルペンにこもった。孤独に自分と向き合った中6日で「結果を残せなかったけど、2試合の登板がいいステップになった」と納得できた。だから自分らしい決意表明ができた。会見の最後。「すべての日本人に向けて」という決意を求められ、田中は口を開いた。

 田中

 一生懸命、自分たちの野球をやる。結果、いいプレー、いい試合につながっていく。見ていただく方々に、何かを感じていただければうれしいです。

 レンジャーズ上層部はじめ、メジャーのスカウトが大挙して押し寄せるが興味はない。日本のエースとして、侍ジャパンの初勝利だけに徹する。【宮下敬至】<過去のWBC開幕投手>

 ◆06年上原

 5回2失点

 大体大時代から通じインターコンチネンタル杯など国際大会で当時10連勝中。04年アテネ五輪でも開幕試合に投げており、一発勝負の怖さを知る経験を王監督に買われて起用された。「中国は楽勝だと思ったことはない。勝った方が強い」と気を引き締め、4回に同点2ランを許しながら制限いっぱいの65球で5回まで投げきった。

 ◆09年ダルビッシュ

 4回無安打

 松坂、岩隈との先発3本柱の中で、春季キャンプから球速150キロを出しハイペースで調整。08年北京五輪で初戦を経験したこともあり、原監督に起用された。「(球数制限を)考えたら勝負できない」と全力投球を目指し、中国相手に46球で予定の4回を無安打に抑え込んだ。