<WBC:日本16-4オランダ>◇10日◇2次ラウンド1組◇東京ドーム

 坂本勇人内野手(24)が、大会日本人初の満塁本塁打を放って大会タイの6発が飛びだした大勝を締めくくった。7回1死満塁で狙いすましたように左中間に運んだ。これまで4試合は16打数3安打と本調子ではなかったが、本職ではない6番に入って2安打4打点。米サンフランシスコでの決勝トーナメントに向けて、勢いに乗ってきた。

 引導を渡す。7回1死満塁、坂本は体を軸足側に傾け、打球が上がるように角度をつけた。ファンドリールの138キロ直球を待ち受けた。アッパー気味に強く打った。瞬間、甲高い音とともに、ロジンの白い粉が舞った。バットを離すと、少し驚いた顔をした。ベンチを見て小さくこぶしを握った。「打った瞬間(スタンドに)いくと思った。気持ち良かったです」。驚いたのは自分の飛距離に対してだった。

 日本人が、WBCで初めて打った満塁ホームランで、コールド勝ちは決まった。「えっ…。良かったですねぇ」と人懐こい笑顔で言った。直後、落ち着き払って「アメリカ行きは決まったけど。たまたま、いい結果は残せたけど。いい形で行きたい。バッティングは水ものですし、バントやつなぎをしっかりとやります」と続けた。本職ではない6番で大きな仕事をしたが、浮かれることなく先を見た。24歳にして巨人の看板を張り続ける。本拠地東京ドームで、変わらぬ姿があった。

 大好きな先輩譲りの、豪快なバッティングだった。試合後、ロッカー室で勝利の余韻に浸っていると、携帯電話が鳴った。「おめでとう!

 アメリカで会おうな!

 待ってるよ」。声の主はアスレチックス中島だった。「向こうは朝の6時30分なのに、わざわざ電話をしていただいた。頑張らないといけませんね」と感激した。同じ右打ちの遊撃手で、入団してからずっとあこがれていた。気さくに声をかけてくれる人柄も尊敬していた。「中島さんみたいに、右方向へ大きな打球を打ちたい」と、オフから徹底して右打ちに取り組んできた。

 「このまま、調子が上がってくれればいい」と坂本。海を渡って、晴れ舞台で結果を出して、先輩にいい報告をする。【宮下敬至】