ここ数年で後楽園ホールでのボクシング興行の形態が変わった。主催するジムが激減し、名門や大手ジムに限られるようになった。日本王者を抱えていても、自前ではなく合同や人任せが増えた。

 ジムの一番の収入源は選手、練習生の入会金、月謝。あとはファイトマネーのマネジメント料、スポンサー料、そして、興行収入となる。興行収入は入場料、スポンサー料、テレビ放送料となる。

 ところが、まずテレビ放送が激減した。現在も定期放送するのは日本テレビとフジテレビ。不定期を入れてもTBS、テレビ東京の4局しかない。この場合も帝拳、三迫など昔から提携の名門ジム中心となる。

 観客も減少傾向で入場料収入も減っている。さらに選手も減って足りないという。通常は1興行50ラウンド目安。王者がいても他にカードが必要だが、ジムに選手がいても相手も必要であり、このマッチメークがまた難しくなっている。

 そんな状況から、運営会社ビータイトから独立してボクシング専門に扱うDANGANによる興行が増加している。古沢将太代表がプロデューサーを務める。マッチメークにはじまり、会場確保からすべてを運営する。

 ジムは会長=プロモーターがトップに立つが、選手と違って定年はない。新しいジムや会長も増えたがベテランも健在。しかし、興行のためにマッチメーク、スポンサー集めや入場券販売など、企画、交渉、営業もこなすのは大変。そこでDANGANへ一任することになる。主催はジムながら乗り興行も増えた。

 古沢代表は慶大理工学部から上場企業に入社した。WOWOWでデラホーヤやハメドらの海外ボクサーにはまって、ボクシングに興味を持った。ビータイトの瀬端幸男代表の存在を知り、押しかけで修行。12年からこの仕事に専念している。

 DANGANはB級やC級のトーナメント、KOラウンドによる賞金マッチも開催する。底辺の充実、拡大にも力を入れる。今年になって外部へ発信しようと有料のネット中継も始めた。

 中立の立場のファン目線で、ジムの垣根を越えるマッチメークができる。その結果、好カードを生み出して評判も上がった。古沢代表は「面白いけど思惑、タイミングとか難しい。実現したのは半分」という。

 元々はスポーツイベントの集客に興味を持ったのがスタートだった。「世界戦もやってみたいけど、やっぱり集客しないと盛り上がらない。来年は集客に力を入れたい」と話す。ずぶの素人から、今や業界に欠かせぬ存在となっている。【河合香】