2月10日にプロボクシング16年度年間表彰式があった。第1回の49年(昭24)は最優秀、技能、努力、最高試合の4賞だけ。ここに新鋭、殊勲、KOが加わった形が60年から定着し、08年から女子最優秀、09年から女子最高試合も追加された。

 今回から優秀選手賞が新設され、防衛した世界王者、それに匹敵する活躍をした選手に贈られる。さらに最優秀、殊勲、技能の3賞は表彰式当日発表になった。式をより盛り上げようという狙いだった。

 最優秀は山中、技能は井上と両雄が射止め、山中はKOと最高試合の3冠となった。近年は常連世界王者が競う中で、10年のKO賞から常連の内山の名が消え、小国以載が殊勲賞に選出されたのが新鮮だった。

 お笑い路線の小国だが、初めて出席に緊張しっぱなし。「すごいメンバー中で、賞なんて思ってもいなかった。こんなに人がいるとは」とガチガチ。「こんなところでパフォーマンスなんて…。もう帰っていいですかね」。晴れ舞台にも居心地悪そうだった。

 大みそかに自ら2-8と言った世界初挑戦で番狂わせを演じた。壇上に上がった時は「スーツで来いとだけ言われたので」とベルトはなかった。あわてて関係者に届けてもらった。4日前にようやく届き、世界王者を実感したそうだ。

 タイトル戦では王者陣営がベルトを掲げて入場し、試合中はコミッションが保管し、勝者に授与される。新王者が誕生してもそのまま自分のものになるとは限らない。控室に戻ると敗者の前王者陣営が引き取りに来る。王者といえど一時的にベルト空白期ができる。

 通常は挑戦時に支払う各団体承認料に50万円前後のベルト代が含まれる。王者が交代すると発注され、完成すると届くわけだ。王座決定戦には立会人が持参して、その場で手にすることができる。

 日本王者のベルトに限ると、ずっと持ち回り制が続く。傷むこともあって、現在のものは07年に更新された6代目のもの。記念に自前や後援者らがレプリカを作るボクサーもいる。特に引退後購入することが多いようだ。

 プロボクサーが目指すのは、表彰台でもなく、メダルでもなく、このベルト。小国は一生の記念のベルトを手に入れた。IBFは男子が赤、女子が水色と色分けしている。日本では13年に公認され、男子は高山、亀田大、八重樫に続きまだ4人目と、希少価値のあるものだ。【河合香】