夏場所初日に151本もの懸賞がかけられた。初日としては初場所の130本を超え、1日でも1964年(昭39)初場所千秋楽の139本を更新し、史上最多。取組表は懸賞欄が半分近くを占めた。

 角界と90年以上も付き合いのある島印刷所は、国技館の地下で取組表を印刷している。通常2時間で終える作業も、前日は1時間前乗りして着手した。河井社長は「懸賞が多すぎて、レイアウトを変えないといけない。こんなの初めて。何でみんな、こんなに懸けるのかねえ…」。

 懸賞幕を持って土俵を回るのは、十両以下の呼び出しの仕事。十両呼び出しの照喜は「(1つの取組につき)13本以上なら2周回らないといけない。今日は幕内の兄弟子にも手伝ってもらわないといけない。うれしい悩みですね」と、せわしなく駆け回った。

 取組表に掲載される懸賞は1本あたり17字以内と決められており、アナウンス担当の行司が場内でこれを読み上げる。幕内後半を担当した木村銀治郎は、133本分を振り返り「場内が乾燥していたので、水分をこまめに取りながらやりました。いつも千秋楽は多いのですが、初日からこれは珍しいですね」と相撲人気の回復を実感していた。【桑原亮】