「具志堅の秘蔵っ子」比嘉大吾(21=白井・具志堅)がデビュー戦から11連続KO勝ちで初防衛に成功した。同級2位カグブコブ(フィリピン)を強烈なボディーで攻め、4回に2度のダウンで10カウントを聞くと、コーナーに登ってガッツポーズ。「感無量です」と喜ぶ隣で、具志堅用高会長は「私が現役の頃より彼は強い」と持ち上げた。

 同じ沖縄生まれ、その現役時の映像集を偶然目にした高1で競技を始め、わずか5年。高3で同会長に「ハートがプロ向き。力もある」と一目ぼれされて上京し、順調に階段を上る。いまの目標は会長と同じ21歳での世界王者だ。

 実際の階段上りでも、周囲をうならせる。元WBC世界フライ級王者内藤大助を育てた野木トレーナーの名物「階段ダッシュ」は角度、段数が違う5カ所を使い、比嘉も「地獄です…」と顔をしかめる特訓だが、同トレーナーは「タイム、本数では内藤に匹敵する唯一の選手」と証言する。

 21歳のリミットは、来年の誕生日の8月9日まで。すでにWBCの世界同級3位で、同1、2位とが戦う1月の王者決定戦の勝者との初防衛戦に狙いを定める。全戦全勝全KOの完全男は「絶対に世界を取ります」と世界の階段の頂上へ駆け上がる。【阿部健吾】