記録面でも際立つ。ボクシングの日本人五輪メダリストで世界王者はいない。64年東京五輪バンタム級を制した桜井孝雄(故人)は68年に世界タイトルで判定負け。半世紀ぶりに歴史を動かす期待がかかる。当人は「記録はあとからついてくれば」としたが、その枠は日本にとどまらない。

 4団体のミドル級王者で13戦目のベルト奪取となれば最速になる(WBAに改称された62年以降)。欧米人の平均体格に近い同級は層が厚く、アジア人の挑戦すらまれだが、試合数も前代未聞となる。ただ、村田は全てKOで勝利した昨年の4試合が大きな手応えとする。「強打と圧力とガードの堅さが武器」と見つめ直したスタイルで結果を残し、早計とは考えない。「集大成というのもある。いいところをぶつけて勝てるかどうか」と期した。

 元WBO同級王者エンダムは、昨年12月に1回22秒KOも記録した強打者。6度倒れても判定まで戦いきったタフネスさも持つ強豪。ガードを固めて前に出続け、至近距離からパンチを打ち込めるかが鍵を握る。

 勝負まであと1カ月半。

 村田 自分という人間が強いと思えるかが大切。この選手に勝てれば、自分は強いと胸を張って言える。

 ロンドン五輪でも日本人に不可能とされたミドル級の扉をこじ開けた。5月、プロとして再び-。【阿部健吾】

 ◆ミドル級世界王者 層の厚さからキャリア10戦台での世界挑戦ですらわずかしかない。JBC(日本ボクシングコミッション)公認世界王者でみると、主要4団体の最短試合数の王者は、WBAがゴロフキン(19試合)、WBCがテイラー(24試合)、IBFがアブラハム(19試合)、WBOがピログ(17試合)。記録の出典はボクシング記録サイト「BoxRec」。