世界初挑戦の大森将平(24=ウォズ)が宿敵に屈した。前日22日に体重超過でベルトを剥奪された、前王者タパレスに11回TKO負け。キャリア唯一の黒星を喫した15年12月のリベンジを狙ったが、京都のジムから初となる世界王座を逃した。大森の敗戦により、王座は空位となった。

 満身創痍(そうい)の11回、大森に戦う力は残っていなかった。コーナーで棒立ちになると、16秒でTKO負けを告げるゴングが鳴った。10回の終盤には左アッパーからの右フックでダウン。口から血があふれ、試合後は病院に直行した。

 6回に受けた左アッパーが効いた。右のあごと奥歯を折られ劣勢に陥った。相手は前日計量で制限体重53・5キロを0・9キロオーバー。この日の試合前、61キロに達したタパレスと大森の体重差は約4キロ。敗戦直後に右の奥歯を抜いた教え子を見て、大森昌治会長(56)は「スカッと勝ちたかった。(相手は)よく喜べるよな。意味が分からんわ」と、行き場のないもどかしさを口にした。

 昨年の大みそかにはIBFバンタム級王者ハスキンス(英国)との世界戦が決定しながら、王者のケガで実現せず。ジム創設20年目で何とか初の世界戦にこぎ着けたが、今回も試合前から振り回された。大森会長は「練習が足りていないということですわ」とした上で「運が悪いのか、タイミングなのか…」とポツリ。南京都(現京都広学館)高の先輩山中慎介に続けと磨き上げた「魔の左」。その代名詞でも、苦境は切り開けなかった。【松本航】

 ◆大森将平(おおもり・しょうへい)。1993年(平5)2月2日、仙台市生まれ。2歳で京都に転居。南京都高3年時に国体バンタム級準優勝。11年4月にプロデビュー。「魔の左」の異名を持つ172センチの左ボクサーファイター。