WBC世界スーパーバンタム級2位の西岡利晃(31=帝拳)が「5度目の正直」で世界王座獲得を狙う。トリプル世界戦(9月15日、パシフィコ横浜)の開催が6月30日、発表された。5度目の世界挑戦となる西岡は同級3位ナパポン・キャッティサクチョーチョイ(タイ)との暫定王座決定戦に臨む。世界初挑戦から足かけ9年。4度目の世界挑戦から約4年。すでに今年1月から妻子と別居して練習に集中。「24時間ボクシング漬け」で悲願達成を目指す。

 ラストチャンスは逃さない。西岡の5度目の世界戦が決まった。23歳での世界初挑戦から足かけ9年。「天才」といわれながら挫折を繰り返した31歳は「1日1日、強くなるため、懸命に頑張っています」と表情を引き締めた。

 当時のWBC世界バンタム級王者ウィラポンに4度挑戦して2敗2分け。04年3月の4度目の世界挑戦失敗後も、現役を続行し、世界挑戦のチャンスを待ち続けた。その間、05年1月には美帆夫人(27)と結婚。長女小姫ちゃん(2)にも恵まれた。5度目まで4年半かかったが「どうすれば少しでも進歩できるか、常に考えた」と日々の練習を地道にこなしてきた。

 今年1月、美帆夫人の兵庫・尼崎の実家に「世界を取るまでは面倒を見てください」と頼んで妻子を預けた。年内の世界戦の実現を信じて、24時間ボクシング漬けの生活を決意した。食事の時にはボクシングのDVDを見たり、メンタル強化の本を読む。風呂、トイレでも相手をイメージする。寝ている時も「戦う夢を見るんです。必ず勝ってます」。

 01年12月に痛めた左足アキレスけんも、ようやく完治した。ケガ後の2度の世界戦では、足をかばうなど、持ち前のスピードが十分にいかせなかった。今年に入ってからようやく違和感が完全に消え、左右の動き、パンチの際の踏み込みもベストの状態に戻った。「待ちに待った世界挑戦。心身ともに充実しています。今は試合が楽しみでわくわくしています」。5度目の世界戦で、王座奪取の機は熟した。【田口潤】